西山氏庭園“青龍庭”Nishiyama-shi Garden “Seiryu-tei”, Toyonaka, Osaka

重森三玲作庭による回遊式枯山水庭園は、氏の手掛けた初期の住宅庭園。2019年、国指定名勝に。

庭園ギャラリーGarden Photo Gallery

西山家住宅・西山氏庭園“青龍庭”について

【通常非公開】
「西山氏庭園“青龍庭”」(にしやましていえん・せいりゅうてい)は重森三玲が『東福寺方丈庭園』の翌年に作庭した枯山水庭園。個人邸としては初期の作品で、2019年に国指定名勝となりました(それまでは国登録記念物)。
また明治・大正・昭和初期に建てられた家屋は『西山家住宅』として複数の建造物が国登録有形文化財となっています。

個人の住宅なので普段は非公開。2019年12月に申込制の特別公開が行われたので行ってきました!東広島の『前垣氏庭園』と同じく、稀に特別公開があるっぽいな…と昨年ぐらいに気付いて。昨年が12月に行われていた(その為に来阪は出来なかった…)ので今年もその時期にあったらいいな…と時々チェックしていたら読みが当たった…!
ちなみに、豊中市議会議員の方が『活用方法が決まりましたらまた報告致します。』とつぶやかれている。今後は公開回数増えるのかな。

(´-`).。oO(それぐらい楽しみにしていたのに岡町駅に急行が止まらないことに乗ってから気付いて駅から必死の思いで走ったという…。もう見れないかと思ってちょっと泣きそうになった…ほんと見れてよかった…。慣れない路線は油断しちゃ駄目だ…!)

この岡町というエリア。この西山家住宅以外にも駅の比較的近辺に『奥野家住宅』(不定期のイベント時に公開)、『旧羽室家住宅』(土日のみ公開)といった国登録有形文化財の家屋や、『奥内陶芸美術館』を始め立派な邸宅があります。国登録名勝『中西氏庭園』のある吹田市岸辺なんかもそうなんだけど、割と歴史がある街なんだろうか。

そして西山家住宅。明治時代に竹中工務店を中心に組織された「岡町住宅経営株式会社」によって建てられた主屋を、大正時代に当時のご当主?西山丑之助が購入。その後、大正時代に洋館、昭和初期に離れとそれを結ぶ渡り廊下が建築されました。これらと大正期に建てられた高塀が国登録有形文化財。

離れにある茶室と待合の設計は、大阪三越住宅建築部技師であり茶室の研究家でもあった岡田孝男。初めて見た名前だったのですが、吹田市に大正期に手掛けた『岡田家住宅主屋』も国登録有形文化財です。
今回の見学では離れから入場し、洋館⇒渡り廊下⇒庭を回遊する…という流れでした。なお撮影は庭のみ可。渡り廊下にすごく素敵な意匠が見られたので、もし今後の公開で行かれる方が居た際にはそちらにも注目して欲しい。

回遊式の枯山水庭園“青龍庭”は重森三玲と京都の庭師・川崎順一郎により昭和15年(1940年)に作庭されたもの。また主屋の前の小さな赤石を沢山用いた延段(中庭)のほか、主屋に沿ってもう一つ庭園(北西庭・北東庭)があるようなのですが、今回は北西庭・北東庭は見学対象から外れていました。

重森三玲さんが44歳の時の作品で、住宅庭園としては――当サイトに掲載している中では『西谷邸庭園』に次いで2番目に古い。
立石と白川砂による枯流、枯滝石組、そして青石を用いた石橋――などから“重森三玲らしさ”は見られるけど、でも先月見た『前垣邸』と比べると同じ住宅庭園でもまだまだ世界観全開って感じではなく、過渡期といった印象を受ける。

自分がそう感じた最たる例が『銀閣寺』“向月台”を模した白川砂の盛砂。こんなに“他の古庭園”を模したものがはっきりある重森庭園ってあまり無い気がするし、主屋の前に銀閣寺型手水鉢が置かれている点からも――「重森三玲さんが好き勝手やった」というよりは、施主が銀閣寺をとても好きだったとか何らかのオーダーがあったんじゃないかと感じる(←あくまで妄想です)。枯滝も『大徳寺大仙院風』と資料にあるけど、それも確かに…と思うし。

住宅庭園であっても“邸宅から眺めるだけ”の作品も多い重森三玲庭園の中で、築山の上流から沢飛び石を渡っていって――斜め後ろから眺められる重森庭園はなんだか初めてぐらいな気がして(回遊できる庭園もあるにはあるけど)。お隣の自治体・伊丹市にある重森完途さんが手掛けた『伊丹郷町館』の庭園がなんか似てるなあと思った。そういった“いつもと違う”感じを覚えられるという意味では貴重な重森三玲作品。

また豊中市の公式サイト内の紹介や過去の見学会の写真ではもっと樹高が高くて周辺と遮蔽されていたイメージがあって。なので今回の見学時は周囲の建物が見えるぐらい明るく剪定された後だったのも、予想してたイメージと少し違った(笑)これは先述した『活用していく』にあたって明るくしたのかな〜。

なお向月台を模した盛砂は以前の写真で見るとより高かったようだし、洋館の中には昨年の地震によって漆喰にヒビが入った状態もそのままだった。
見学会自体は無料だったけれど――やはり古建築、古庭園の維持にはお金が必要。その後に足を運んだ旧羽室家住宅にその分の気持ちをカンパ…。今後有料公開されるとしたって数百円ってレベルからだろうし、そういうのではなく、こうした文化遺産に“投資する”ことが大人にとっての一つのブランドになったらいいなぁ。自分もこのサイトを通じて、その為になにか出来ることがあればしたい――と思った見学会でした。活用はじまったらまた来ます!

(2019年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

阪急宝塚本線 岡町駅より徒歩4分

〒561-0883 大阪府豊中市岡町南2丁目 MAP