奈良春日野国際フォーラム 甍

Nara Kasugano International Forum "Iraka" Garden, Nara

若草山の借景が◎。奈良の代表的観光スポット・奈良公園の一角にある国際フォーラムの、元祖“奈良クラブ”の庭園をルーツとする日本庭園。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

奈良春日野国際フォーラム 甍〜I・RA・KA〜庭園について

「奈良春日野国際フォーラム 甍~I・RA・KA~」(ならかすがのこくさいふぉーらむ・いらか)は奈良の代表的な観光スポット『奈良公園』の一角にある国際コンベンション施設。“古都奈良の文化財”の『東大寺』と『春日大社』の中間点に位置し、若草山〜春日山を借景とした日本庭園があります。建設省(国土交通省)による「公共建築百選」に選定。

現在の名称になったのは2015年(平成27年)からで、それまでの旧名称は『奈良県新公会堂』。現在の姿は和モダンなですが施設の歴史は古く、明治時代に設立された集会場『奈良倶楽部』を前身とします。(また江戸時代までは『興福寺』の塔頭寺院『四恩院』があったそう)

明治時代に建築された奈良倶楽部(旧公会堂)の老朽化にともない、奈良県の100周年を記念して1989年(平成元年)に開館したのが「奈良県新公会堂」。建築設計は戸尾任宏+建築研究所アーキヴィジョン。現在の“甍”(いらか)の愛称どおり、瓦葺の大きな屋根がその特徴。中も一見現代的な建築なのだけれど、大きな能楽堂も備えています。

庭園は建物の奥の広い芝生の庭園を主庭園として、前庭の池泉庭園、エントランス前の庭園と複数あります。建物奥の庭園も受付でお声掛けすることで見学・散策可能(*イベント等で散策不可の時も)。

■前庭(1〜5枚目)
この施設に関連するというものというより「奈良公園の一部」だと思っていたのですが(『奈良公園』の中で先に紹介していた)、奈良県の公式サイトにある資料《国際フォーラム庭園の植栽計画(案)》の中で紹介されている1961年の「旧公会堂」の航空写真に写り込んでいて、かつ「前庭」として説明されている。

旧公会堂の建築と同じ、明治時代からの歴史があるかはわからないけれど、少なくとも60年以上の歴史のある日本庭園。

■鴟尾の庭(7〜9枚目)
エントランスの前にある枯山水庭園。特徴的なのは庭園の中に配された“鴟尾”(しび)。旧公会堂には『唐招提寺』を模した鴟尾が屋根に設置されていたそうで、その鴟尾や瓦をモチーフにして奈良公園事務所のメンバーにより作庭された庭園。

■奈良県新公会堂庭園(18枚目〜)
手前にはレセプション/ガーデンパーティーにも利用可能な広い芝生があり、奥にいくにつれ若草山〜春日山の自然と地形が楽しめる庭園。

前述の《国際フォーラム庭園の植栽計画(案)》によると原形は「旧公会堂」に形作られたもので(ひょうたん型の池など)、建物から見て左手側(北側)の池泉庭園が平成元年の開館に合わせて「新公会堂」の庭園として作庭されたもの。そんな昭和〜平成の庭園ですが、園内を流れる川は万葉集にも詠まれた「吉城川」。この庭園を通じて奈良公園や『依水園』などへと流れ込んでいます。

四季折々の花木が楽しめるこの庭園の花ごよみは公式サイトから。庭園としても何気にかなり大規模だし、吉城川にも手を入れてるので昭和〜平成の有力な造園家が関わっていそうなのだけど、建築家と違って名が残されていないのがもったいないところ…。隠れた奈良の日本庭園、ぜひ立ち寄ってみて。

(2022年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

近鉄奈良線 近鉄奈良駅より徒歩20分弱
近鉄奈良駅・JR奈良駅より路線バス「東大寺大仏殿・春日大社前」バス停下車 徒歩4分

〒630-8212 奈良県奈良市春日野町101 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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