将軍徳川綱吉の母・桂昌院も信仰し、金堂/五重塔/本堂をはじめ数多くの国宝を抱える紅葉の名所“女人高野”。
“女人高野”室生寺について
「室生寺」(むろうじ)は奈良時代以前、白鳳年間の680年に天武天皇の勅願により創建したと伝わる古刹。金堂・本堂・五重塔が国宝、そして弥勒堂・御影堂が国指定重要文化財、その他数多くの仏像が国宝・国指定重要文化財となっています。通称“女人高野”。
2020年行きたかった場所の一つが奈良県宇陀市の室生。お目当てはどちらかと言えば現代彫刻家:ダニ・カラヴァンの設計による『室生山上公園 芸術の森』だったのですが、紅葉の名所として知られるこの古刹も参拝。庭園…といったエリアがあるわけではないのですが紹介。今の時期は青もみじが美しい。
創建は先の天武天皇の勅命により創建した説と、777年(宝亀8年)に即位前の桓武天皇の病気を治癒させた興福寺の大僧都・賢璟により創建したという説があるそう。国宝の金堂・五重塔は平安時代初期に建築されたという貴重なものですが、そんな平安初期に境内を整えたのは空海や最澄と並ぶ当時の高僧であり、賢璟の高弟だった修円。
室生寺のキービジュアルになっているのはどちらかと言えば五重塔(屋外に建つ文化財の五重塔では国内最小とか)なのですが、個人的にはフロント部分がちょっとした懸造りになってる金堂がめちゃくちゃかっこいいなあと思いました。同じく国宝の本堂は鎌倉時代の建立。
ところで、前者(天武天皇)の説で建立に携わったのが役小角という人。以前、山口県の『神上寺(雪舟庭園)』でその名前を挙げたのですが、この人は鳥取の国宝“投入堂”を投げ入れた人としても挙げられます。…うーん金堂の懸造りと関連あるのかなあ。
神上寺も真言宗のお寺だったけど、室生寺も平安時代に弘法大師空海が入って以降は真言宗の寺院として現代まで至ります。
室生を離れた空海は以下のような歌を残しました。
——我が身をば 高野の山に とどむとも 心は室生に 有り明けの月
中世に一時衰退したものの、江戸幕府5代目将軍・徳川綱吉の生母・桂昌院により再興。当時は女人禁制だった高野山『金剛峯寺』と対照的に、女性の参拝を許可・受け入れたことから女性の信仰を集めたことが“女人高野”という呼称のルーツだそう。今回も確かに女性の参拝者も多かった。
『室生山上公園芸術の森』も“映えスポット”要素で割と女性が多かったけど、この古刹もあわせて立ち寄ってほしいな〜。
(2020年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)