日本遺産“三朝温泉”の温泉宿の2つの庭園。千坪の借景庭園と作庭家・重森三玲の長男:重森完途が作庭した枯山水庭園…“庭の湯”も。
三朝館庭園について
「三朝館」(みささかん)は皆生温泉と並び鳥取県を代表する温泉地『三朝温泉』の温泉街の入口に位置する創業80余年の温泉旅館。1,000坪の広さの借景庭園のほか、昭和の代表的な作庭家・重森三玲の長男で作庭家/庭園研究家・重森完途による枯山水庭園があります。日帰り入浴も可能。
2022年春、6年ぶりに鳥取県中部の倉吉の倉吉白壁土蔵群の町並みへ。そして倉吉の奥座敷・三朝温泉を初めて訪れました!日本遺産“六根清浄と六感治癒の地”にも選定されている三朝温泉。その代表的なお寺『三徳山投入堂』は死ぬ前に一度訪れたい修験道…。(今回は行けなかったけど…)
その三徳山参詣とも深く結びつき、平安時代に発見され約900年の歴史をほこる三朝温泉。1916年(大正5年)に石津利作薬学博士によって“世界屈指のラジウム泉”と発表されると入湯客が増加、近代〜昭和にかけて温泉街としての開発が進みました。三朝川に架かる“三朝橋”や『木屋旅館』『大橋旅館』はいずれも近代の建築で国登録有形文化財。
そんな温泉街の入口に位置するのが“白壁土蔵”を連想する外観の三朝館。開業は1938年(昭和13年)で創業80年以上をほこり、現在のメインの客室棟は1970年(昭和45年)と1979年(昭和54年)の建築で、その後平成年代に増改築/改装されています。
三朝館の主庭園は客室棟のロビーラウンジ/ロビー喫茶河鹿から眺められる庭園。南方の山を借景とした約1,000坪の広さの池泉回遊式庭園はモミジの多さが印象的で、今回も新緑が美しかったけど秋はまた格別なんだろう。
で、他の三朝温泉の旅館で見ても『後楽』には建築家・堀口捨己が関わっていたり、現在は駐車場となっている『永楽庵』には作庭家・重森三玲が招かれた中で、三朝館には重森三玲の長男・重森完途が招かれました。
各所に“和の回遊式庭園”のような意匠が施された館内を奥へ進むと、1968年(昭和43年)に重森完途により作庭された石庭があります。丹波石や京都の白川砂を運び込まれ、京都の5人の職人とともに作り上げられたこの庭園は『鳥取県庁舎庭園』、『島根県庁舎庭園』などと共に山陰に残る貴重な“重森庭園”。
2015年にリニューアルオープンした“はなれ琳”からはこの重森庭園が目の前に眺められます。重森庭園ファンはマスト!
そして日帰り入浴でも利用可能な温泉大浴場も“庭の湯”“滝の湯”と言って、2020年にリニューアルオープンしたばかりの日本庭園のような露天風呂が。三朝温泉の泉質はすごく好みだったのでまた遠くない未来に行きたい!
(2022年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR山陰本線 倉吉駅より8.5km(駅にレンタサイクルあり)
倉吉駅より路線バス「温泉入口」バス停下車 徒歩1分
〒682-0122 鳥取県東伯郡三朝町山田174 MAP