熊本・水前寺の結婚式場に残る、江戸時代中期に藩主・細川家の別邸に造られた桃山式池泉回遊庭園。
マリエール神水苑庭園について
【見学前に問合せ推奨】
「マリエール神水苑」(しんすいえん)は熊本市内の水前寺地区にある結婚式場・レストラン。かつては細川家の別邸があった場所で、敷地内にある日本庭園は江戸時代中期に造られたもの。
前段として。熊本市には「水前寺成趣園」という国内随一の素晴らしい大名庭園がありますが、それ以外の日本庭園の情報ってあまり無いなあと思っていて。細川家は江戸の下屋敷にも素晴らしい庭園を残す程なのだから、熊本にももっと庭園が残っていても良いはず――と思っていて、その一つが以前足を運んだ「釣耕園」(細川家の御茶屋に造られた庭園)。
そして今回の熊本旅行の際にも同じように情報収集してたのですが、Googleマップで水前寺江津湖付近を見ていたら――幾つか細川家の邸宅跡に関する史跡のピンが立っていることに気づき――その一つが「神水苑(細川刑部家別邸跡)」でした。なお前述の通り現在は結婚式場になっているので、希望日に見学可能かどうかは事前に問合せを!
その作庭時期は江戸時代中期、肥後熊本藩3代藩主・細川綱利の時代に遠州流の庭師を招き造られたものとのこと。桃山式池泉回遊庭園で、造園当時から残る池泉は水前寺公園と同じく湧水によるもの。また園内にある石灯籠や石橋も江戸期より引き継がれているものだそう。
荒廃という情報も見た気がしたので(「砂取邸」とごっちゃになってたのかも…)、水前寺成趣園に引けを取らない芝生のきれいさと成趣園にも通ずるゆるい築山の美しさに、驚いたの一言!写真で見てるとマンションとかがちょっと気になるけど、散策中はそれよりも庭園の美しさに惹きこまれていた。結婚式に付随している日本庭園の中では歴史的背景とクオリティともトップクラスではないでしょうか――その質の高い管理に感謝。
※KAB(熊本朝日放送)の門垣顧問の2010年のブログ記事によると、結婚式場としてオープンしたのは2010年頃。この結婚式場以前もホテルがあったそうなので、また違う形で多くの方が目にしていた庭園だったのかも。これを潰してマンションにする計画もあったそうだから、歴史ある庭園でも後世に残ることの難しさを感じます(リスペクト!)。
あくまで結婚式場なので観光マップに載ることは難しくても、水前寺成趣園を知って感動したのに神水苑のこの庭園を知る術がないというのはとても勿体ない…自分がそうだったように。少ない人数にでも届けー!なおレストラン利用も可能なようなので観光の途中にもオススメ。
(2018年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)