旧小田切家住宅庭園

Kyu-Otagiri House Garden, Suzaka, Nagano

古民家カフェ“CAFE KOH”としても使える、須坂藩の御用達もつとめた豪商の明治時代の邸宅。長野県宝。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

旧小田切家住宅について

「旧小田切家住宅」(きゅうおたぎりけじゅうたく)は長野県宝に指定されている須坂藩の豪商の元邸宅。現在は文化施設やギャラリー、カフェ「CAFE KOH」として運営されています。

2019年のGWに初めて須坂市に行きました。目的はこちらより更に大きな豪商の邸宅『田中本家博物館』だったのですが、須坂の街ではいくつかこのような歴史的建造物が公開されているのでそちらも見学。

江戸時代には善光寺と群馬県をつなぐ“大笹街道”、そして稲荷山・松代の城下町から飯山へとつなぐ“谷街道”が交わる商業都市として栄えた須坂。まさにその街道が交わる四辻にあるのが小田切家。江戸時代から麹・酒造・油・蚕糸・呉服商などを営んだ「西糀屋」という屋号の豪商で、須坂藩の御用達でもありました。

明治時代以降、須坂は製糸の街として栄える中で小田切家もその発展に貢献。当時の当主、小田切辰之助は蚕の品質を管理するための組合を作ると県からその“蚕種大総代”に任命されたり、製糸結社である“東行社”も創立。その他銀行の設立など須坂の経済を支えました。

街道沿いからも見える4つ連なる白い土蔵など、現在残る建造物は明治時代に小田切辰之助により整えられたもの。主屋が街道沿いに建ちながら長屋門も併設している面白い作りで、器械製糸を行うための水車小屋などの姿も残ります。

そんな豪商の邸宅も昭和の後半には空き家となり、須坂市によって整備され2016年より公開開始。でもいかにもな「古民家文化施設」という感じよりはレトロな書店さんみたいな面構えなんですよね。あらかじめ“古民家カフェ”的な文化財の活用を意識されていたのかも。

庭園は“中庭”と“北庭”があります。かつては“中庭”の(西側)先にもまだ敷地が続いていたそう。敷地西部分の芝生や塀は2016年の開館にあたって整備されたものなんだと思います。西隣の敷地には現在は大手ドラッグストアが建ち、主屋からお庭を眺めると派手な色の『薬』が目に入るのがちょっと気になる(笑)借景に現代的な建物が入ることをあまり気にしない方なんだけど…あの派手な色は木で隠れるといいな〜。

また主屋や蔵では小田切家ゆかりの古美術品の展示のみならず、現代の地元の作家さんなどのギャラリーとしても用いられています。自分が訪れた際も展示会をされていてポストカードをいただいてしまった。旅行客だけでなく“地元の人がふらっと使って、立ち寄れる”文化財施設、長く愛されてほしい!

(2019年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

長野電鉄長野線 須坂駅より徒歩10分強(※レンタサイクルは駅から徒歩7分の場所にある観光案内センターにあり)
須坂駅より路線バス「芝宮」バス停下車 徒歩2分

〒382-0074 長野県須坂市須坂春木町423-1 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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