近代の和泉を代表する実業家・久保惣太郎の邸宅に造営された茶室と庭園。国登録文化財。美術館には国宝も。
和泉市久保惣記念美術館について
「和泉市久保惣記念美術館」(いずみしくぼそうびじゅつかん)は明治時代以降に和泉/泉州で有数の企業だった“久保惣”がコレクションした美術品とともに和泉市に寄贈し1982年(昭和57年)に開館した美術館。
元は久保家の本邸があった場所で、昭和初期に久保家に造営された茶室が国登録有形文化財、庭園が国登録記念物(名勝地関係)。また所蔵する美術品には国宝2点、国指定重要文化財29点も含まれます。
ずっと訪れたいと思っていた美術館。2021年4月に初めて訪れました!2020年に国登録名勝に答申されたばかりの庭園はもちろん、この時の企画展《北斎 ―富士山と東海道―》が面白そうだったので。
…ただし2021年現在は国登録名勝になった“茶室庭園”及び国登録有形文化財の茶室“惣庵”“聴泉亭”“楠蔭庵”は耐震工事に伴い公開休止中。2021年は実施設計、2022年から施工という形でスケジュールが掲示されていたので…茶室見られるようになるのは2023年頃なのかな~。
二代目久保惣太郎が昭和初期の1937年~1941年に造営した表千家の茶室“残月亭”“不審菴”の写しと露地庭。
名勝の庭園はお休み中ですが、約5,000坪の敷地に幾つかの建物(本館・新館・市民ギャラリー・市民ホールなど)が点在する想像よりも広大な美術館。1982年完成の本館の前にも高台と低地部の高低差を活かした“本館庭園”や、1997年(平成9年)に開館した新館の前にも“モネの庭”を思わせる池中に水生植物が浮かぶ庭園があります。作庭は関西造園界の巨匠と呼ばれる柳原寿夫(スタジオ アーバン スペース アート)。
初代久保惣太郎から四代にかけてコレクションされた美術品の数々は日本・中国の書画から陶磁器、青銅器、茶器、西洋美術と幅広く、計11,000点。中でも浮世絵版画は今回の企画展で見た葛飾北斎や歌川広重・歌川国芳などなど約6,000点。今回の北斎の展示では国指定重要文化財の宮本武蔵作品『枯木鳴鵙図』の特別展示もあった。
それもこれも元は久保家のコレクション。美術館そのものは和泉市立の公設美術館なのだけど、先に紹介した『正木美術館』と同じく成り立ち自体は関西に多い《近代に財を成した人(企業じゃなく個人寄り)の私設美術館》にかなり寄ってる。ノブレスオブリージュ大事って言い続けたい。
茶室再公開する前にもまた面白そうな企画展の時は足を運びたい!
(2021年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
泉北高速鉄道 和泉中央駅より路線バス「美術館前」バス停下車 徒歩3分
*南海本線 泉大津駅からも路線バスあり
和泉中央駅より徒歩30分
〒594-1156 大阪府和泉市内田町3-6-12 MAP