土佐藩主・山内容堂が構えた下屋敷の長屋門は国指定重要文化財。西郷隆盛や歴代天皇も訪れた地に残る庭園。
三翠園・旧山内家下屋敷長屋について
「三翠園」(さんすいえん)は江戸時代に土佐藩主・山内家の下屋敷(南御屋敷)だった場所に建つホテル。当時の面影が感じられる庭園の一部と、敷地の一角に国指定重要文化財の「旧山内家下屋敷長屋」が残ります。
高知市の庭園と言えば土佐藩主・山内家も御成になった国指定名勝の『竹林寺庭園』。それ以外の印象って殆どなかったのですが、“現存十二天守”高知城を残し明治維新でも勝利した側。坂本龍馬ゆかりの地ばかりでなく藩主や武家ゆかりの庭園があってもいいもんだよな…と思い調べ、その筆頭格と言えるのがこちら。2021年年始に初めて訪れました。
現在の三翠園および隣接する『鷹匠公園』(山内神社もある)の場所に土佐藩15代目藩主・山内容堂および16代目藩主・山内豊範の下屋敷(別邸)“散田邸”が建てられたのは幕末の1864年~1866年。
国重文の「旧山内家下屋敷長屋」が建てられたのもその時で、屋敷の警護にあたる足軽の宿泊所として用いられていました。三翠園の敷地と一体化してる長屋門ですが、建造物の所有は高知市で(昭和年代に三翠園から市に寄贈)『旧山内家下屋敷長屋展示館』の名で一般公開されています。
戦後に山内家本邸からホテル三翠園へと生まれ変わり、庭園内には1950年に昭和天皇が宿泊された際の記念植樹も。近年までは長屋門の他にも1867年(慶応3年)2月に山内容堂と西郷隆盛が会見した“物見亭”や薬医門も残っていたようなのですが、2020年秋に新館「翠玉館」がオープンしたのに伴い?残念ながら取り壊されていました。
その庭園は竹林寺のように古庭園がそのまま保存されているわけではないけれど、庭園内には樹齢600年の椋の木をはじめとして、サツキの刈込や多くのマツなどがかつての庭園の面影を残す回遊式庭園。高知の観光名所“はりまや橋”の地に明治~昭和初期に架けられていた赤い橋が移設されていて、その付近に古そうな庭石の姿もある。
三翠園は宿泊以外にもブライダルやお食事や喫茶室、更には日帰り利用可能な天然温泉があります。自分は今回日帰り温泉利用がてら庭園散策。温浴施設「湯殿 水哉閣」の命名は、当時皇太子だった大正天皇によるもので、現在も館内に掲げられている“水哉閣”の墨書は同行した東郷平八郎の筆。
温泉からは目前に鏡川と筆山をのぞめる好ロケーション。また山内一豊や山内家にまつわる展示/ギャラリーもあります。歴史ファンの高知の宿泊地としても◎。
(2021年1月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
とさでん交通伊野線 高知城前駅より徒歩4分
JR土讃線 高知駅より約2km(徒歩25分弱)
高知駅より路線バス「高知城前」バス停下車 徒歩5分
〒780-0862 高知県高知市鷹匠町1丁目3-35 MAP