かつて皇室も宿泊した、奈良・春日大社門前の老舗料亭の明治時代の建築と面影の残る庭園。国登録有形文化財。
うな菊(菊水楼)庭園について
【食事利用者向け】
「菊水楼」(きくすいろう)は奈良の世界遺産『春日大社』の表参道入口にあり、かつては皇室も宿泊した明治時代創業の老舗料亭。本館・旧本館・表門・庭門の4棟が国登録有形文化財。現在はウェディング/ブライダルの場としても利用されています。
2021年9月、春日大社参拝の後に初めて訪れました。といってもウェディングや会席での利用はなかなか機会がなさそうなので——今回は2016年に開業した新業態、本格江戸前うなぎ専門店『うな菊』を利用。
その歴史について。大和郡山の城下町で旅籠「菊屋」を営んでいた岡本善蔵が、明治の廃仏毀釈で売りに出された『興善院』とその周辺の土地を取得し、1891年(明治24年)に開業。
この時、江戸時代創業の宮大工「尾田組」により建築されたのが「うな菊」として利用する旧本館。3階建の本館はその後年、1901年(明治34年)の建立、そして表門・庭門は国宝寺院『円成寺』の塔頭寺院から移築されたもの(江戸時代初期の1615年の建築)。
近代には前述した皇室のほかにも奈良・高畑に集った文豪にも好まれた後、昭和年代にはフランス料理を主とした「欧風レストラン菊水」も開業(現在は閉業)。そして近年には京都の竹内栖鳳旧宅『THE SODOH HIGASHIYAMA KYOTO』等を運営する株式会社Plan・Do・Seeとの共同経営になるなど、時代とともに変化を重ねています。
公式サイトにある《(奈良に居を構えた)志賀直哉も奈良は名物の食べものが少ないと言っていた》という背景プラス「神社参拝の門前にはうなぎがつきもの」といった所から、料亭の会席料理の一つとして好評だった鰻料理をスピンオフしたのが「うな菊」。長年継ぎ足した菊水オリジナルのタレで本格江戸前うなぎを味わうことができます。平日だけどほぼ満席!
客室からは豊臣秀吉の命により築造されたと言われる貯水池“荒池”を一望でき、また渡り廊下からはちらっと庭園も眺めることができる。
また庭門〜玄関へと至る石積みや枯流れも明治時代の面影を残します。いつか本館の会席を利用して主庭をしっかり味わいたい…!今後の春日大社参拝の後のランチはここに決まり。
(2021年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)