“黒滝要害”の麓の苔むした禅寺。桑名藩家老・神田兵右衛門作庭の江戸時代中期の古庭園。地元柏崎の造園家“秀庭園事務所”入澤秀隆さん作庭の“三尊石庭”も。
龍雲寺庭園について
「成澤山 龍雲寺」(りゅううんじ)は新潟県柏崎市の中心市街地より南方に位置する曹洞宗の禅寺。江戸時代中期に作庭された古庭園と、2010年(平成22年)に新たに作庭された苔の美しい前庭“三尊石庭”があります。
先に紹介した豪農屋敷『飯塚邸』より約1kmと近い距離にあるこちらの寺院。現在は田園風景と里山に囲まれた田舎のお寺…といった佇まいですが、その裏山・黒滝山にはかつて上杉謙信や上杉景勝に仕えた武将・黒田氏の居城“黒滝要害”(黒滝城)がありました。その山城の麓、室町時代の1452年(享徳元年)に龍雲玄珠和尚により創建されたのが龍雲寺。
現在の本堂は約200年前(江戸時代後期)のもの。その奥に残るのが江戸時代中期に作庭された池泉回遊式庭園。先に紹介した飯塚邸や『松雲山荘』よりも歴史が古い、中越地方の貴重な古庭園の一つ。
手前に心字池を配して、山の斜面を活かした立派な滝・石組とツツジ、サツキ、そしてカキツバタなどの四季の花を楽しむことができます。(10月は写真の通りあまり花が咲いていなかったので、ツツジが見頃を迎えそうな5月頃がオススメ!)
有名な「天明の大飢饉」によって不況にあえいだ地方の救済事業として作庭されたというこの庭園、作庭を指揮したのは桑名藩家老・神田兵右衛門。「桑名藩?」と思った方のために。松平家が治めた伊勢国・桑名藩は越後国に飛び地領がありました。柏崎もその一つで、現在の中心市街地には『柏崎陣屋』の跡もあります。
そんな歴史的な庭園に加えて、前庭には現代に作庭された和風庭園も。山門を通りすがって、本堂の手前にあるのが苔の美しい枯山水庭園“三尊石庭”。龍雲寺25世のご住職・臥雲龍法和尚の監修の下で、地元・柏崎市で創業約100年の造園店「秀庭園事務所」入澤秀隆さんにより作庭。“三尊”はお釈迦様/永平寺開山の道元(高祖承陽大師)/總持寺開山の瑩山紹瑾(太祖常済大師)を表しています。
そして最後に、その三尊石庭の並びにある池泉庭園。主庭園と比べると決して大きな池泉ではないけれど、その中を泳ぐ無数の金魚がかわいい…!こちらの池の周りも、そして本堂の周りもよく苔むしていて…お掃除の賜物でもあうけれど、苔むしやすい地域なのかなぁ。新潟の庭園巡りの際にはぜひ立ち寄ってみて。
(2022年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR信越線 柏崎駅より約6km(駅前の観光案内所にレンタサイクルあり)
柏崎駅より路線バス「竜雲寺」バス停から徒歩4分(平日3往復/土日祝2往復)/時刻表は越後交通のウェブサイトにて→こちら
〒945-1124 新潟県柏崎市黒滝1522 MAP