樫野倶楽部

樫野倶楽部について

【月・火曜日は一般の方も見学可 ※事前問合せ推奨】
「樫野倶楽部」（かしのくらぶ）は徳島県の徳島市／鳴門市と隣接する「松茂町」にある結婚式場。複数の古民家と庭園で構成され、大正時代に建築された近代和風建築「旧樫野家住宅」と「旧大磯家住宅」2棟が国登録有形文化財となっています。

結婚式場としての営業／運営がメインですが、2025年より月曜日・火曜日は一般の見学ををスタート（※ブライダルの為の見学ではなく建築や庭園目当てでの散策。月・火であってもブライダル等で見学できない可能性もありますので、電話等で事前確認推奨）。またお食事や撮影会での貸切などのプランもあります。詳しくは樫野倶楽部またはtokinowaの公式サイトをご確認ください。

松茂町…徳島市／鳴門市と比べると（他県民からすると）馴染みある自治体ではないのですが、徳島阿波おどり空港のある自治体が松茂町。この樫野倶楽部は空港から3〜4km（タクシーで10分強）、神戸・三宮→徳島の高速バスの「松茂」バス停からも徒歩10分程という立地。

先にこの場所を知ったきっかけを記すと。海外出身の日本庭園作庭家のパイオニア的存在・Marc Peter Keane（マーク・ピーター・キーン）さんの作庭実績に徳島県の『阿波之里』があった事から。これは一体どこだ…？もう現存しないのか…？色々調べた結果、現在はこの「樫野倶楽部」へと変貌を遂げていました。

その『阿波之里』は現在の樫野倶楽部に隣接する『ハレルヤスイーツキッチン』を運営するお菓子メーカー・株式会社ハレルヤ（旧・ハレルヤ製菓）が1994年（平成6年）に開館したテーマパーク。当時の設計は京都の建築設計事務所・アトリエ RYO。後述の樫野邸を始め、複数の歴史ある古民家がこの地に移築。それら建築は残したまま、その10年後の2004年に別会社が運営する結婚式場「樫野倶楽部」として再オープン。この2024年〜2025年は施設の20周年、樫野邸の100周年にあたります。

■樫野邸（1〜15枚目）
阿波之里の頃から変わらないのが本館『樫野邸』。現在は大阪に本社を置き関西に多くの事業所を持つ株式会社樫野（旧・樫野石灰工業）の創業家・樫野家（二代目の樫野恒太郎）の自邸として徳島県阿南市（当時の事業の中心）に大正時代の1915〜1925年の10年間に掛けて建築されたもの。平成に入り現在地へと移築されました。

これを移築したのか…！と驚く、延床面積1,000平方メートルの大邸宅。1階は、かつての大広間を活かしたバンケットルームとレセプション／ラウンジ。2階含め、結婚式場として内装は色々とリニューアルされていますが、「大正ロマン」をそのまま拡張したようなシャンデリア、ステンドグラスと和洋折衷な姿がとにかくオシャレ！
2階…へ上がる階段の天井がワクワクしちゃうのですが、当時の和室・洋室が数部屋残されており、そして一面ガラス張りの廊下からは周囲の山々の風景が眺められて…いやぁすごいお屋敷…！

樫野邸から眺める芝庭の先にあるのが「旧大磯家住宅」。大磯家は徳島の名産品・藍の製造を営んでいたそうで、この建物は樫野邸より古く江戸時代末期の建築。現在は挙式される方向けの美容室として利用。その脇の桜の木が春にはお庭を彩ります。

尚、阿波の里の庭園と見比べると、エントランスも芝庭もだいぶ作り替えられているけれど、バンケットルームの南側のお庭…にMarcさんが手掛けたお庭の面影を少し残している。（北側の池庭もそうかな？）

■和式場「和音」／旧北川家住宅（16〜18枚目）
樫野邸から園路を進んだ先にある茅葺屋根の建物。先の2つは徳島県内からの移築だけれど、こちらは滋賀県長浜市から移築された“伊香造”（伊香式住居）の古民家。内部はその名の通り“和”のチャペルへとリノベーションされています。農家の梁と祭壇の組み合わせが新しい…！

■風雅庭／旧土田家住宅・旧武田家屋敷（21〜29枚目）
敷地の南西部にある、芝庭を挟んだ二つの建物が「風雅庭」（建物の名称）とそのレセプションホール。この2棟も滋賀県長浜市からの移築。中でももう一つのバンケットルームとなっている風雅庭／旧武田家屋敷は、その苗字の通り戦国武将・武田信玄の流れを汲む一族の武家屋敷を移築したもので、建物の外には阿波の青石の巨石を複数配したお庭があります。

風雅庭のレセプションホール「旧土田家住宅」は先の和音と同じく元は“伊香造”の農家で、天井の梁や葭簀（よしず）敷をそのまま残している＆元々土間が広い作りがとても特徴的。この天井とバーカウンターの組み合わせもすごく新鮮…！

最後に庭園の補足。知ったきっかけであるMarc Peter Keaneさんのお庭…はもう現存していないというのが正しい表現になりますが、建物に負けじと広い園内には約80種の季節の花木で彩られます。開放的な芝庭もガーデンパーティーや撮影会にはピッタリ！徳島旅行の際には月曜／火曜まで滞在して、ぜひその建築美を体験しに訪れて。

（2023年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。）