旧香川県立体育館 石庭Kagawa Prefectural Gymnasium Rock Garden, Takamatsu, Kagawa

解体の危機にある丹下健三のモダニズム建築と、イサム・ノグチの共同制作者・和泉正敏により作庭された石庭。

庭園ギャラリーGarden Photo Gallery

旧香川県立体育館 石庭について

「旧香川県立体育館」(かがわけんりつたいいくかん)は丹下健三設計によるモダニズム建築。耐震改修工事が入札不調により実施できず、2014年に閉館。現在は解体か保存かで揺れている最中が、その間にも老朽化が進みます。
『国立京都国際会館』でモダニズム建築の日本庭園を紹介した時にも少し紹介していたのですが、この建築の外構の石庭の作庭者がわかったので個別に。

旧香川県立体育館が建立されたのは1964年。これは丹下健三建築の代表作の一つ、国立代々木競技場と同じ年。同じ丹下建築の『香川県庁舎』とは異なる曲線的な屋根を持つデザイン性も、代々木第一体育館と同年代と思うと納得。
ただその特殊な構造の天井が落下するおそれがあった――というのも耐震改修に至らなかったネックの一つ。

その“船”のようなデザインが本当にかっこよくって――2019年夏、瀬戸内国際芸術祭で3年ぶりに香川県へ行った時に初めて訪れました。
面白かったのが、たまたま自分と同タイミングで写真を撮っていたのが若い欧米系の男女だった。都内ナンバーの車を停められていたので、レンタカーして日本中の建築を巡っているのかもなあ。
(庭園と比べると)建築って本当に国問わず見に行ったりする人多いじゃないですか(自分も香港でザハ建築見に行ったりしたけど)。丹下建築も世界でも知られているのだろうし――その中でも知名度としては地味であろうこの建物も、2017年にアメリカのワールド・モニュメント財団による2018年版の危機遺産リスト(2018 World Monuments Watch)にも登録されました。

今回訪れて知ったのは、体育館の周囲にある石庭。重森三玲を更にモダンにしたような(イサム・ノグチ的な)デザインの石庭も、立入禁止と貼られたフェンスに囲われています。
巨匠による芸術性の強いモダニズム建築に付随する石庭。本来はこの庭もとても価値あるはずのもので――「誰が作ったのだろう」とつぶやいたら、石彫家・和泉正敏さんによる作庭だと教えていただきました!

保存会や丹下都市建築設計のサイトにも“造園・外構”の担当についてはふれられていない…地味な立ち位置に思いがちなのだけれど――この和泉政敏さん、『イサム・ノグチ庭園美術館』のある高松市牟礼に国内の拠点をおくイサム・ノグチの日本の制作活動におけるパートナーであり、現在もイサム・ノグチ日本財団の理事長を務められております。
イサム・ノグチが手掛けた東京『草月会館“天国”』、札幌『モエレ沼公園』などの制作にも参加し、自分がこれまで訪れた中では『京都迎賓館』の大滝や、東京オペラシティ、東京都現代美術館、豊田市美術館などにも作品が。

そのような方が手掛けられている庭園があること(“あったこと”になるのかもしれないけれど)を、自分のような建築も庭も好きなDDが記録しておきたいなと思った次第。この時は「なんだろうあの石庭、写真撮っとこ」ぐらいだったので早いうちにまた再訪したい…!
なおこの建築の内装は香川県庁舎と同じく、当時の代表的インテリアデザイナー・剣持勇によるもの。それを見ることは当面かなわない――そう思えばこの石庭は見られるだけ幸運かもしれない。

たとえば日本にザハ建築が実現しなかったことは残念だけれど、一方で日本にはこのようなカッコいいモダニズム建築・近代建築が残されているし(前時代のものと言えばそうだけど)、そして存続の危機に瀕していたり取り壊されたりしている。
“庭屋一如”という概念自体は和風建築ばかりに当てはまるものではないはず――自分が近代建築・モダニズム建築の庭にも惹かれるのは、言語化できていないけれど、純粋にそれが魅力的だからなのだと思う。

(2019年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

琴電琴平線 片原町駅より徒歩15分
琴電志度線 今橋駅より徒歩10分
JR土讃線 高松駅より約2km(徒歩25分・レンタサイクルあり)

〒760-0066 香川県高松市福岡町2丁目18-19 MAP