十代目紀州和歌山藩主・徳川治宝が再建した和歌山県指定文化財の伽藍と、御用庭師に作庭させた名勝庭園。
十禅律院庭園“洗心庭”について
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「十禅律院」(じゅうぜんりついん)は西国三十三所第3番札所『粉河寺』の国指定名勝庭園の奥にある、かつての粉河寺の塔頭寺院。別名“喘息封じの寺”。
10代目和歌山藩主・徳川治宝により再建された建造物4棟(塗上門・本堂・庫裡・護摩堂)が和歌山県指定有形文化財で、その御用庭師が作庭した借景枯山水式庭園“洗心庭”が紀の川市指定名勝。
2021年春に初めて拝観。庭園は今年はお手入れ出来ていないので…ということだったので写真は少しだけ紹介。
歴史について。平安時代の990年(正暦元年)に「法水院」の名で粉河寺の塔頭寺院として創建。以来天台宗の寺院として現代に至りますが、親の粉河寺が戦後に天台宗から独立したので、粉河寺境内に位置するけど別の宗派という関係性。
江戸時代には紀州徳川家ゆかりの寺に。江戸中期の寛政年間には八代目藩主・徳川重倫、そして江戸後期の文久年間(1820年頃)に徳川治宝により復興。総欅造の本堂の扁額“薦福殿”、そして龍宮造の山門の扁額“宝鐸墜”の題字は徳川治宝によるもの。
藩主御成用の玄関なども残る庫裏の奥に、徳川治宝が御用庭師に作庭させた庭園“洗心庭”が残ります。なんと言っても和泉山脈の借景の奥行が素晴らしく、庭園の規模以上のスケールを感じさせる。
そして本堂に向かって枯滝石組のある枯山水庭園がもうけられています(※今回は残念ながらあまり見えていないけど、また改めて)。
『粉河寺庭園』とはまた全く魅力も目的も異なる、藩主自身が眺めるために自ら造り、そして眺めた庭園。同じ目線でその庭園を味わって。
(2021年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)