井上家住宅

Inoue Residence Garden, Kurashiki, Okayama

2023年一般公開開始!“倉敷美観地区”のレトロな町並みの一際大きな国指定重要文化財の“倉敷最古の町屋”。画家・岸駒に師事した井上端木ゆかりのお庭も。

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井上家住宅について

「井上家住宅」(いのうえけじゅうたく)は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている『倉敷美観地区』(倉敷川畔伝統的建造物群保存地区)内で最古と言われる江戸時代中期の町家建築で、国指定重要文化財。これまでは通常非公開でしたが、約10年に及ぶ保存修理工事を経て2023年3月より一般公開が始まりました。

江戸幕府の天領として形成された美しい町並み「倉敷美観地区」。そのメインストリートで“往還通り”とも呼ばれた本町通りでひときわ大きな間口の大型町屋が「井上家住宅」。その2階部分にある防火用の土扉は“倉敷窓”と呼ばれ、今となっては倉敷で唯一現存する“倉敷窓”なのだそう。

井上家の歴史について。16世紀の末(安土桃山時代)に倉敷に移住、江戸時代に入ると開墾や新田開発に従事し、倉敷村の村役人となる資格を有する「古禄」の13軒の1軒として年寄役や百姓代をつとめた名家でした。

この町家は遅くとも1721年(享保6年)には現在の規模に整えられ、築300年超となる倉敷最古の町屋で、2002年に主屋/三階蔵/井戸蔵/土塀/敷地/当時の間取りを描いた家相図がが国指定重要文化財に(うち、蔵は非公開)。当時も限定公開が実施されたことはあり、その当時の様子が現在施設内のモニタで流れていますが、当時はかなり老朽化が激しく。「10年に及ぶ保存修理工事」が着手されるまでも10年掛かるなど、文化財の保存修復の「長い時間軸での計画」も見学の中では感じることができます。

お庭はいくつかの中庭/坪庭があります。保存修復に際して(元の庭石や石造物は残しながら)維持管理し易くかなり新しくされていますが、その構造は同じく倉敷の国指定重要文化財の『大橋家住宅』と通じる所が。
主座敷から眺める坪庭は、京都画壇で活躍した画家・岸駒に師事した10代目当主/画家・井上端木が鶴の絵を数多く描いたという謂れの残る坪庭。また客間や茶室から見られる襖には同じく江戸時代後期の漢詩人・藤井竹外の書が張られていて、井上家と関西〜京都との繋がりも感じられます。茶室を結ぶ太鼓橋もユニーク。

とても印象的だったのは、第16代ご当主が自ら解説してくださる…というだけでなく、ご当主とツーショが撮れたり、缶バッヂが売られていること。笑。ここまでご当主が押し出されている公開文化財も珍しいけれど、「貴重な文化財建築を維持されている方」を身近に感じられるのはとても良いし、記念撮影されている方の多さがその「良さ」を物語っていると思いました。ぜひ訪れた際はツーショ特典会にご参加を!

(2023年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR山陽本線 倉敷駅より徒歩15分弱
倉敷駅より路線バス「大原美術館前」バス停下車 徒歩6分

〒710-0054 岡山県倉敷市本町1-36 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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