小堀遠州が桃山時代初期に作庭したと伝わる、高野山内最古の鶴亀蓬莱式庭園は“高野三名園”。和歌山県指定名勝。
宝善院庭園について
【事前連絡推奨】
「宝善院」(ほうぜんいん)は高野山の奥の院表参道入口にある宿坊。和歌山県指定名勝となっている小堀遠州作庭と伝わる池泉鑑賞式庭園があります。高野山のガイドブックに“宿坊でなく庭園を目的に訪れる方も”という一文があったので電話でお聞きしたところ、庭園のみの拝観も可能でした!ということで2020年6月、初めて拝観。
昭和39年までは“丹生院”という名前だったこの寺院は、高野山から400mほど標高を下った場所にある、同じく世界遺産に登録されている『丹生都比売神社』(天野大社)の社家を代々つとめた丹生家ゆかりの寺院。丹生家は弘法大師空海とも関係が深かったそう。
和歌山県指定名勝となっている庭園は桃山時代初期の作庭とされ、同じく小堀遠州の作庭と伝わる国指定名勝の『天徳院庭園』や『普門院庭園』とともに“高野三庭園”と称されたとか。
で、鶴亀式山水の庭園としては高野山内最古のものなんだそうですが、天徳院と普門院は江戸時代の作庭なのでこの宝善院庭園は一足早い時期に作庭されたものということになる。普門院の庭園と雰囲気が割と違うのもそれで納得。
この庭園の面白いところは、池泉庭の奥に築山はなく、枯山水庭園のような空間がもうけられていて、奥に蓬莱山、右に亀島、左に鶴島…が配されているという構造。またその石組には当地の丹生川渓谷のものが用いられているそう。
またかつては山を借景としていたそうですが、現在はすぐ裏が道路(&家屋がある)ので樹木で目隠しされている。
今回訪れたタイミングではサツキが花を咲かせ、青もみじにノムラモミジの紅葉で庭が彩られていましたが、もう少し早い時期には桜やシャクナゲ、夏にかけて夏椿にサルスベリと四季の花が見られるそうです。“奥の院”へのお参りの際にはこちらの庭園もどうぞ!
(2020年6月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)