金剛峯寺庭園“蟠龍庭”

Kongobuji Temple Garden “Banryu-tei”, Koyasan, Wakayama

世界遺産にも構成される高野山真言宗の総本山寺院に、昭和後期に作庭された日本国内最大級の石庭。

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

金剛峯寺・蟠龍庭について

「金剛峯寺」(こんごうぶじ)は世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』に構成される、高野山真言宗総本山の寺院。

2019年夏、5年ぶりに高野山へ行きました!初めて訪れた前回は高野山開創1200年の年で、幾つかの宿坊で重森三玲作庭の庭園が特別公開されたのをきっかけに訪れたのですが――その時にはこの“蟠龍庭”のことは知らずに観ていませんでした!ということで今回初めて拝観。
そして2020年6月に再訪。この時の拝観時には、新書院へ通じる道が少しだけ奥へ行けるようになっていて蟠龍庭が前回とは違う視点で見ることができました。その写真も追加。

金剛峯寺は説明し始めると長くなりそうなので簡潔に。命名は弘法大師空海によるもので、かつては高野山そのもの(全体)を指す名称でした。現在「金剛峯寺」を指す寺院は豊臣秀吉によって創建された『青巌寺』をルーツとするもので、正門はその当時(桃山時代)の建造物、大きな主殿(本坊)は江戸時代後期に再建されたもので和歌山県指定重要文化財。また離れた場所にある金堂、根本大塔、奥ノ院(弘法大師霊廟)なども金剛峯寺の伽藍の一部で、それぞれ「金剛峯寺境内」として国指定史跡となっています。

主殿から渡り廊下を抜けた場所にあるのが「日本国内最大の石庭」と称される“蟠龍庭”。作庭されたのは弘法大師御入定1150年の1984年(昭和59年)で、新別殿とともに施工されました。2,340平方メートル(とか500坪)という広さの一面の京都・白川砂も圧巻で、その雲海の中央に浮かぶ奥殿を守り囲むように、龍の如く曲線を描いた石組が特徴的。またその石組には空海の出身地・四国の花崗岩が使われているそう。

…年代の情報はあるんだけど作者の情報が無いんですよねえ…これだけ大規模な庭園、一流の方が携わったと思うのですが。
ちなみに重森三玲作庭『興禅寺看雲庭』も“日本最大の石庭”なんてキャッチフレーズですが、看雲庭の方が20年早く完成している。その当時は看雲庭が、その後は蟠龍庭が日本最大の石庭だったのかなーと。もっとも平成年代に作庭された新たな“日本最大の石庭”というのもありそうですが。中根金作の『神勝寺無明院庭園』も大きいし。

順路上、奥殿の先までは行けないので“蟠龍庭”の全貌を見ることはできないのですが、その龍の曲線はほぼ360度描かれていて――渡り廊下の先に見える石組の隅には、松下幸之助から寄贈され元総理大臣・佐藤栄作による命名された「真松庵」というお茶室や阿字観体験のできる阿字観道場も。
順路に沿って主殿の方に戻ると江戸時代(青巌寺の頃に?)に作庭されたと伝わる池泉鑑賞式庭園も。池泉の周囲にはアセビやシャクナゲ、コウヤマキなど様々な樹木が植わってるので“四季の中庭”というキャッチフレーズが案内看板にありました。ちなみに高野槙は悠仁様のお印なんだそう。

今回の高野山も、この金剛峯寺蟠龍庭を初めとして幾つか庭園を拝観したので少しずつ紹介してゆきます!(高野山はこの庭園に重森三玲の国登録名勝庭園、小堀遠州の国指定名勝庭園…と色んな著名な庭園があるのだけど、その性質上観光情報でまとまっているわけではないので現段階でも結構把握し切れていない…)

(2019年8月、2020年6月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

高野山ケーブル 高野山駅より路線バス「金剛峯寺前」バス停下車すぐ
高野山駅から上り坂を約3km

〒648-0294 和歌山県伊都郡高野町大字高野山132 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は1,900以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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