宝厳院庭園“獅子吼の庭”Hogoin Temple Garden, Kyoto

嵐山の借景の美しい紅葉の名所。現代に天龍寺の御用達庭師により復元された、策彦周良作庭の“獅子吼の庭”。

庭園ギャラリーGarden Photo Gallery

宝厳院庭園“獅子吼の庭”について

【期間限定公開】
「宝厳院」(ほうごんいん)は世界遺産寺院『天龍寺』からすぐの場所にある塔頭寺院。室町時代、策彦周良禅師により作庭された“獅子吼の庭”を現代に復元した借景回遊式庭園は、例年春と秋に期間限定で特別公開され、紅葉の名所として知られます。紅葉ライトアップも!

2019年秋に初めて訪れたのですが、紅葉も苔も素晴らしいお庭だった!
存在は知りつつも秋の嵐山は人多そうだから〜…と敬遠して他のお庭巡りをしていたのですが。妙心寺から京都駅方面へ自転車で移動中に思っきしパンクするハプニング…やむを得ず二条駅近くの自転車屋さんに預け、さてどうすると。二条から電車移動になるなら…嵐山行っちゃおうかなと。嵐山は何度も来ているけど紅葉時期に訪れるのは初めて…!日曜の夕暮れ時だったので覚悟していた程は人は多くなかった。

宝厳院は室町時代の1461年、管領・細川頼之夢窓国師の三世の法孫・聖仲永光禅師を天龍寺から迎えて創建。その点からも当初から天龍寺の近くに建立されたかと思いきや、当初は上京区の現在『本法寺』や裏千家・表千家のあるあたりで広大な敷地を有していたそう。
応仁の乱により焼失した後しばらくして、桃山時代に豊臣秀吉によって再興。その後明治時代に同じ天龍寺の塔頭『弘源寺』内に移転、更に2002年に現在地(旧妙智院跡地)に移転を果たしました。

なのでパンフレットや公式サイトには“室町時代に策彦周良が作庭した”とだけ記載されていますが、現在の“獅子吼の庭”は現代の庭園で、手掛けたのは天龍寺の『曹源池庭園』の管理もされている曽根造園さん。
この境内地の変遷で言うと江戸時代には《都林泉名勝図会》にも掲載されている『旧妙智院庭園』があり、その後大正時代以降は資産家(林民雄という方)の別荘地となっていたそう。なのでこの庭園全てが2002年以降の新しいとも言い切れず…現在のような嵐山の借景を取り入れた回遊式庭園の原型は大正時代以降にあったのかなあ、なんて想像したりもするのですが。

ここからはパンフレットにもサイトにも書かれていないので妄想文です。
現在は宝厳院山門となっている茅葺きの長屋門。これが全くお寺の山門らしくないというかいわゆる庄屋や名主の屋敷の長屋門で。近代に資産家が「田舎の農家から建築を購入し移築した」って事例は沢山あるけれど、これもその一つなんだと思うんですよね。
数多く植えられている紅葉に、大正時代の別荘建築の遺構である書院、茅葺の無畏庵や茶室『青嶂軒』…とその中を流れる自然風の小川。林民雄さんという方も“山荘らしい雰囲気”を大変好んだ方だったのではと感じる。だとしたらこの庭園は近代に誰が手掛けたんだろう…?って気になり始めるっつう…。

【この段落は2020年夏に追記】
でその後日、近江商人発祥の街・五箇荘で江戸末期に創業した造園会社「花文」の歴史をまとめた書籍『秘伝・鈍穴流「花文」の庭』を読んでいたら、林民雄さんがこの地を所有する以前にここには旧外村宇兵衛嵯峨別荘があったという調査結果が!冒頭の写真(近代の数寄屋風建築、現書院)は大正時代の林民雄さん時代に建てられたものですが、数多く植わっている紅葉や庭内に配されている愛知川青石は花文により作庭された名残だそう。うおーマジかーどうりで素晴らしいわけだ…。

妄想から戻ります。ところどころで嵐山の借景が素晴らしい回遊式庭園で、枯山水庭園“苦海”からはじまり、巨石“碧岩”に都林泉名勝図会にも描かれた獅子の形をした“獅子岩”、そして苔と紅葉の組合せの美しさを堪能!そして庭園の各場所に配された岩にも苔が付着していて良い感じ。
修復を終えたのが比較的近年である『青嶂軒』の屋根が少々傷んでいるのは、今年の台風の被害でしょうかね…。個人的な好みで言うとちょっと粗くなってしまった今の姿はとても魅力的なのだけど…。

秋に訪れた時は閉園間際の入場だったので全体的に写真が暗いので。また再訪したいな!今回は入らなかったけどライトアップもとても多くの人が並んでいた。いつかそちらも。

(2019年12月、2020年6月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR山陰本線 嵯峨嵐山駅より徒歩10分強
嵐電北野線 嵐山駅より徒歩5分強
阪急嵐山線 嵐山駅より徒歩13分

〒616-8385 京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町36 MAP

近くまたは関連する庭園Nearby or Related Gardens
天龍寺庭園
天龍寺庭園

天龍寺曹源池庭園について 「天龍寺」(てんりゅうじ)は室町時代に時の将軍・足利尊氏が開いた寺院で、世界遺産「古都京都の文化財」にも構成。夢窓疎石により作庭された“曹源池庭園”は国の …

弘源寺庭園“虎嘯の庭”
弘源寺庭園“虎嘯の庭”

弘源寺庭園について 【期間限定公開】 「弘源寺」(こうげんじ)は世界遺産寺院『天龍寺』からすぐの場所にある塔頭寺院。通常非公開ですが、例年春と秋に期間限定で嵐山を借景とした枯山水庭 …

パンとエスプレッソと嵐山庭園
パンとエスプレッソと嵐山庭園

パンとエスプレッソと嵐山庭園について 「パンとエスプレッソと嵐山庭園」(ぱんとえすぷれっそとあらしやまえいえん)は『パンとエスプレッソと』が2019年7月に新たに京都・嵐山にオープンした …

大河内山荘庭園
大河内山荘庭園

大河内山荘庭園について 「大河内山荘」(おおこうちさんそう)は京都・嵯峨の地に昭和の映画俳優・大河内傳次郎が造営した山荘と庭園。比叡山や近隣の嵐山~保津峡の景色・借景が楽しめる回遊 …