ジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』のモデルと言われる洋館『盛美園』のまち・津軽尾上。旧町役場庁舎に平成年代に作庭された現代の大石武学流庭園。
平川市役所 尾上総合支所庭園について
「平川市役所 尾上分庁舎」(ひらかわしやくしょ おのえぶんちょうしゃ)は青森県平川市の庁舎の一つで、2006年に誕生した平川市を構成する旧町村の一つ・尾上町の旧町役場庁舎。敷地の一角には津軽/弘前地方に伝わる庭園流派「大石武学流」の枯山水庭園があります。
スタジオジブリ映画『借りぐらしのアリエッティ』の舞台のモデルになったと言われる洋館が有名な『盛美園』(庭園が国指定文化財)。その最寄駅、弘南鉄道の津軽尾上駅から盛美園へ向かう途中に位置する公共建築が尾上分庁舎。
地域のシンボルになっている『盛美園』の洋館のドーム屋根からインスパイアされたドーム屋根のある外観が特徴的(ドーム屋根の下は吹き抜けで「パインフォーラム」と名付けられているので、パイナップルがモチーフなのかも)で、合併前の1998年(平成10年)に『尾上町総合センター』として竣工しました。
その敷地の一角に日本庭園があります。先述の『盛美園』も津軽藩・弘前城下を中心に江戸時代後期〜明治・大正時代に広まった独自の庭園流派「大石武学流」の代表作の一つと言われますが、現代に作庭された尾上分庁舎の庭園もその作風が反映された枯山水庭園。
枯池(枯流れ)を主体として、中央手前に平たい“礼拝石”、中央に築山、正面に見て左手奥と右手側に“津軽富士”岩木山に見立てた大きな三角の庭石(遠山石・深山石)を配する…という点が大石武学流的なデザイン。
一方で、中央にある雪見燈籠や右手側にある春日燈籠などは地域性/独自性だけでなく「一般的な日本庭園」的な要素も盛り込まれています。昔の武学流庭園と比べて大きな庭石を用いている庭園も現代の武学流庭園ならでは!
この分庁舎、平川市の尾上総合支所と平川市尾上図書館、生涯学習センターなどから構成されましたが、平川市役所の機能統合などに伴い2024年から改修/リニューアル中。今後は元の施設に加えクラフト作家らが物販可能なワークスペースやカフェ、コワーキングスペースなどが新たに設けられるそう。盛美園や猿賀公園を訪れる観光客の方々も今後立ち寄ってみて。
(2012年4月、2016年11月、2023年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)