圧巻!120畳の大広間から眺める国名勝“二見浦”の借景と回遊式庭園。国指定重要文化財の近代和風建築。
賓日館庭園について
「賓日館」(ひんじつかん)は1887年(明治20年)に伊勢神宮の賓客の休憩・宿泊施設として建築された近代和風建築。「旧賓日館」として本館・大広間棟・土蔵が国指定重要文化財。中庭と建物の表裏に枯山水庭園を見ることができます。
「八勝館、優勝」に続き、ここも今年の表彰台候補。“贅を尽くす”もここに極まれり…いやあまだまだすごい“和”の空間、ありますね…。
国指定名勝にも選定されている景勝地『二見浦』。その代表的なスポット“夫婦岩”は伊勢神宮とセットで古代から信仰されたそうで、大正時代以降は海水浴場、湯治場のある旅館街として栄えました。今回初めて訪れたけど賓日館だけでなく立派な旅館が多く残っていて驚いた。
伊勢神宮の賓客といえば皇室や政財界の要人たち。有栖川宮熾仁親王が総裁をつとめていた伊勢神宮を崇敬する団体“神苑会”により建造されました。その名も“賓客の泊まる日の昇る館”…というまんまの意味ですが、命名は有栖川宮親王。 その後英照皇太后(孝明天皇の女御)や皇太子時代の大正天皇も宿泊。
明治末期〜大正時代以降は隣接していた旅館“二見館”の別館となり、1999年(平成11年)まで営業。二見館閉業後に賓日館は二見町(現・伊勢市)に寄贈され、現在は観光施設や貸室として運営されています。
なので今回紹介する大広間も貸室として借りられるという…!(国重文だから飲食イベントとかはさすがに厳しいかもだけど)駅から歩いていくとこの賓日館の隣にだだっ広い空き地があるんだけど、そこが元二見館なのかな…。
で、その空き地が見えたあたりからもうその先にどデカい和風建築が見えてきます…そして唐破風屋根の玄関ドーン。
玄関からは赤絨毯が敷かれていて、階段の感じからも洋風も入ってきているな…というところからの。120の大広間棟。広さ!シャンデリア!折上格天井!天井絵!そしてそこから見下ろす庭園と二見浦の景色…。「圧巻、ヤバい」の言葉しかないですね…。
それ以外の、皇族滞在のための“御殿の間”や客室も意匠がめっちゃくちゃ凝ってて色んなデザインがあって(あと彫刻家・板倉白龍による階段の取手をカエルにした作品もかわいい)。
1930年(昭和5年)〜1936年(昭和11年)にかけて先の大広間を含む増築や大改修が行われたそうで、その指揮をとったのは前年に伊勢神宮式年遷宮の監督もつとめた大江新太郎と塩野庄四郎。ちなみに大江新太郎の息子が、『神宮美術館』を手掛けた大江宏。塩野庄四郎という人は京都の建築家らしいけど、ググっても大体賓日館の話だな…。
庭園に関する詳細は書かれていないので不明ですが、白砂と刈り込まれた植栽と重厚な和風建築の組み合わせの表(海側)の回遊式枯山水庭園は高松の『披雲閣庭園』を思い出します。
それ以外にも館内では二見町出身の画家・中村左洲の作品をはじめ二見浦に関する古資料や調度品などが展示。庭園よりも建築要素強めだけど、その欄干と庭園越しの二見浦の風景は世界に誇れる日本の風景。
(2020年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)