NIPPONIA 五個荘 近江商人の町(外村宇兵衛邸)

NIPPONIA Gokasho Omi-shonin Yashiki – Tonomura Ubee House's Garden, Higashi-Omi, Shiga

2022年から一棟貸し古民家宿に…明治時代に全国長者番付にも名を連ね、京都・嵐山/南禅寺にも別荘を構えた豪商屋敷。庭園は“鈍穴流”花文の初代/二代目による作庭。

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NIPPONIA 五個荘 近江商人の町(外村宇兵衛邸)庭園について

「外村宇兵衛邸」(とのむらうべえてい)は国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている古い町並み『五個荘金堂』に残る近江商人屋敷の一つ。2022年から宿泊施設『NIPPONIA 五個荘 近江商人の町』としての活用がスタート。
分家である『外村繁邸』と同じく、近江で江戸時代からの歴史を持つ作庭流派“鈍穴流”の継承者「花文」の初代・二代目により作庭された庭園が残ります。

江戸時代以降に興隆した「近江商人発祥の地」として大きな商人屋敷が立ち並ぶ一方で、国指定重要文化財の本堂を持つ「弘誓寺」や聖徳太子が創建したと伝わる「浄栄寺」が集落の中心に位置し、寺社や水路、周辺の水田を含めた景観が歴史的なものとされている『五個荘金堂』の町並み。
この外村邸や『中江準五郎邸』の辺りが五個荘金堂の中心地で、近江鉄道・五個荘駅から向かうと最も近くにある『藤井彦四郎邸』からは徒歩15分程掛かります。

外村宇兵衛家は、江戸時代を通じて近江商人として活躍した「外村与左衛門家」6代目の末子による分家。近江五個荘を拠点に京都や全国で商売を営んだ外村家は現在も京都に「外与」「外市」さんなど「外」の名を継ぐ企業を残します。
この外村宇兵衛家も初代から約100年経った明治時代には分家ながらも全国の長者番付に名を連ね当地を代表する豪商に。商圏は江戸時代の京都・大坂・紀州・名古屋・上州…といった場所に加え、東京・横浜・福井などにも広がり、近現代に京都で人気を博した別荘エリア・南禅寺や嵐山にも別荘を構えました(現『南禅寺 菊水』『宝厳院庭園』)。

近江五箇荘に残したこの本邸も、江戸時代後期(1860年)建築の母屋を中心に全盛期には十数棟という建物や蔵が立ち並んでいたそう。その後、老朽化によって建物や庭園も半分程取り壊されてしまったそうですが、旧五個荘町によって明治時代の姿に修復/復元されたのが現在の建物と庭園。

敷地の半分近くを占めるのは庭園。母屋/離れを囲む形で茶庭のような飛び石が配され(鈍穴流の特徴はこの飛び石にある!)、奥に池泉がもうけられた池泉回遊式庭園。池泉のほとりの四阿からは繖山(きぬがさやま)の借景が。
その作庭は“遠州流”の系譜を継ぎ近江国で活躍した作庭家・勝元宗益が生み出した作庭流派『鈍穴流』の継承者、「花文」の初代・二代目による作庭。鈍穴流の説明は『外村繁邸』の方に書いたので省略――こちらは外村繁邸よりも早く作庭された庭園で、作庭当時は郡内一番の庭とも言われたそう。

宿泊施設としてのキャッチフレーズは《ビジネスをひと休みして、これからの商いを学ぶ宿。》。京都の喧騒から離れながら、京都でも成功した人物たちによる伝統的な空間を体感する旅、おすすめです。

(2019年3月、2024年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR琵琶湖線 能登川駅より路線バス「金堂」バス停下車 徒歩4分
近江鉄道 湖東近江路線 五箇荘駅より徒歩25分

〒529-1405 滋賀県東近江市五個荘金堂町645 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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