弘法大師空海の師範・勤操が開いた寺院に、江戸時代に小堀遠州により作庭されたと伝わる庭園。
普門院庭園について
高野山の宿坊「普門院」(ふもんいん)は高野山開山後の824年の創建と伝わる寺院で、江戸時代に小堀遠州により作庭されたと伝わる庭園が残ります。
2019年夏、5年ぶりに高野山を訪れました!初めて訪れた前回は高野山開創1200年の年で、幾つかの宿坊で重森三玲作庭の庭園が特別公開されたのをきっかけに訪れたのですが――併せてその時に国指定名勝の『天徳院庭園』も拝観できないかな〜とは思って。
お聞きした所、天徳院は宿泊される方しか観賞することができなかったのですが(現在も)、その後この普門院にも遠州作と伝わる庭園があると知り。そしてこちらは宿泊客以外でも庭園拝観が可能でした!ということで初拝観。
普門院を開いたのは弘法大師空海の師範・勤操(ごんぞう)と伝わります。勤操も平安初期の著名な僧のひとりで、普門院所有の“絹本著色勤操僧正像”は国宝に指定(原本は高野山霊宝館に所蔵)。また内部の塗色が絢爛豪華な本堂は高野山の徳川家霊台にあった東照宮の本殿を譲り受け移築したもので、元は江戸時代初期に日光東照宮を参考に建築されたものだそう。
そして庫裏と本堂の間に、小堀遠州により作庭されたと伝わる池泉鑑賞式庭園があります。遠州作だとすると江戸初期の庭園なのですが、普門院がこの地に移転してきたのは“江戸の中ごろ”とされているのが気になる…その前にあった寺院の庭園という可能性もあるかもだけど。
心字池に亀島・鶴島が配され、紀州の自然石による石橋が架けられている遠州流のオーソドックスな庭園。枯滝組まわりのもこもこした刈込みの植栽と白い小石で表現されている枯流れが好き。本堂の裏に見える茶室?も気になる…。
ところで門前には「名勝 普門院庭園」という石碑があり(他のお寺さんのご住職も「普門院さんは名勝だから」と言った話をされていた)、一応調べたのですが、別に県の名勝でも町の名勝でもないみたいなんだよなあ…気になる(2019/9/16追記:昔は実際に国名勝だったようです。理由は不明ですがその後に解除になったそう)。あと8月も中旬になろうかという時期に紫陽花が残っていたのも驚き…!
(2019年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
高野山ケーブル 高野山駅より路線バス「高野警察前」「千手院橋」バス停下車 徒歩2分
高野山駅から上り坂を約3km
〒648-0211 和歌山県伊都郡高野町大字高野山608 MAP