『日本百名山』著者/登山家・深田久弥の郷里に開かれた、山岳資料が充実したミュージアム。国登録有形文化財の洋館風建築を囲む苔むした和風庭園も。
深田久弥 山の文化館について
「深田久弥 山の文化館」(ふかたきゅうや やまのぶんかかん)は日本の登山者のバイブル的書籍『日本百名山』の著者/作家で登山家の深田久弥の資料・遺品や山岳文化に関する資料を展示するミュージアム。その建物は明治時代に建てられた洋館風建築で「旧山長織物会社」として事務所/門/石蔵の3棟が国登録有形文化財。カフェとしても利用できる『聴山房』の周囲に苔むした和風庭園が広がります。
2024年、北陸新幹線の開通で首都圏からもグッと行きやすくなる「加賀温泉」。その加賀温泉の在来線の隣駅・大聖寺駅が加賀市の旧市街で、江戸時代には加賀百万石・前田家の分家が藩主をつとめる支藩・大聖寺藩の城下町でした。駅から10分~15分歩けば城下町時代の町割りがよく残る町並みも見られます。
藩主・前田家のお屋敷や大聖寺藩陣屋(藩庁)の跡地に建つ『江沼神社』の程近くにあるのが「深田久弥 山の文化館」。前述の「日本百名山」が有名な深田久弥は大聖寺生まれ。中学生の時に地元の名峰・白山に登山。小説家として川端康成、井伏鱒二、太宰治らと交友も深い人物ですが、戦後~晩年は登山、探検とヒマラヤ研究、それに関する執筆に傾倒。「日本山岳会」の副会長もつとめました。
そんな深田がコレクションした1,000冊以上の山やヒマラヤ、シルクロードに関する書籍/雑誌/資料/地図を中心に、深田ゆかりの品々を展示する「山の文化の交流施設」として、故郷の大聖寺に2002年(平成14年)に文化館が開館。
その建物は1910年(明治43年)に建てられた絹織物工場『山長』を修復し活用したもの。越前瓦葺の腕木門は和のお屋敷の様な佇まいですが、本館(事務所)は外壁を“イギリス下見板張”とした洋風建築。回廊で繋がれた石蔵とあわせ、展示室や交流スペース、資料の収蔵庫として用いられています。 なお、本館の前にある大イチョウは樹齢600年以上とされる、大聖寺藩以前からの歴史ある巨木。
和洋折衷な本館から、同じく和洋折衷なデザインをした延段の先に別館『聴山房』とそれを囲む苔むしたお庭が広がります。本館と異なり「生活の場」としての雰囲気を残すこの別館では、お庭を眺めつつお茶やコーヒーをいただける茶房が営業中。歩いて大聖寺観光をされる方の一休みする場としてもオススメ!
(2023年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)