旧西尾氏庭園(旧西尾家住宅)Former Nishio House Garden, Suita, Osaka

近代京都の建築家・武田五一が手掛けた国重要文化財の近代和風建築と茶道藪内流・藪内竹翠、藪内節庵が作庭した庭園。国登録名勝。

庭園ギャラリーGarden Photo Gallery

旧西尾氏庭園(旧西尾家住宅)について

【要事前予約】
「旧西尾家住宅」(きゅうにしおけじゅうたく)は大阪府吹田市にある近代和風建築。主に明治~大正時代に建てられた主屋、茶室“積翠庵”、離れ西棟・東棟、戌亥土蔵、戌亥角土蔵、米蔵の7棟が国の重要文化財に指定、またその庭園がは「旧西尾氏庭園」として国の登録記念物(名勝地関係)でもあります。離れの設計は建築家・武田五一、庭園と茶室は茶道藪内流の茶人・藪内竹翠藪内節庵の作庭。“日本の植物学の父”牧野富太郎ゆかりの温室も。

現在は『吹田文化創造交流館』の別称で一般公開されています。尚、2018年の大阪北部地震により大きな被害を受け、現在建築の大規模修繕中。見学は一部の曜日限定&事前予約制で、庭園および建物の外観、パネルが展示されている計量部屋のみの公開。

2021年の年末、約5年ぶりに訪れました。2017年に初めて訪れた時は――国登録名勝だったことで知って訪れたのだけど、あまり感動を覚えなかったのが正直なところだった。

この旧西尾家住宅に関わっている建築家・武田五一や茶人・藪内節庵の名前を意識するようになり、2人に対する知識がついてきたのもこの1~2年の話。武田五一は近代の京都を代表する建築家であり、藪内節庵は京都『野村碧雲荘』の野村得庵をはじめ、神戸の国重要文化財『旧村山家住宅』(香雪美術館)村山玄庵『滴翠美術館』山口滴翠の茶道の師だった方(あと京都の国重要文化財『旧三井家下鴨別邸』も)。

「あの西尾家にはこの2人が関わっていたのか――」と思い直して、特に2021年に初めて訪れた香雪美術館の庭園がものすごくインパクトあったので「あの頃は茶人の庭を見慣れてなかったからもう一度見てみよう」と思って再訪。

“吹田市”って関西以外の人間からすると“万博公園”“ガンバ大阪”のイメージが強い(と思う)のだけど、万博公園(高台の方)とは別にJR吹田駅の程近くにかつての“吹田村”の中心部がある。
江戸時代には『仙洞御所』に入られた上皇へ献上米を納める御料“仙洞御料”となり、西尾家は代々その庄屋をつとめる豪農でした。西尾家周辺には他にも大きな屋敷があったりする。

近代以降も大阪の名家・資産家として名を馳せる傍ら、藪内家との繋がり以外にも近代に活躍したヴァイオリニスト/作曲家・貴志康一の生家であったり、12代目当主と大学の同期だった牧野富太郎をパトロンとして支えるなど様々な文化人とも交流。

そんな西尾家が1893年(明治26年)建築の茶室“積翠庵”を皮切りに明治時代・大正時代に整えられたのが現在の旧西尾家住宅(なお米蔵のみ江戸時代)。1926年(大正15年)に建てられた和洋折衷の“離れ”が武田五一の設計(撞球室は外から見学可)、かつてそれと隣接していた「温室」は牧野富太郎博士が関与したとも言われます。

主屋の西部にある庭園は茶室“積翠庵”の露地庭・茶庭として茶道藪内流十代目・藪内竹翠(休々斎)と藪内節庵の指導の下で作庭されたもの。また茶室は藪内流の“燕庵”の写しであり、先の2名のほか、西尾家の11代目当主・西尾與右衛門も設計監修に加わりました。園内の四腰掛は『桂離宮』の卍亭の写し。

建築や作庭に関わった先人が京都の方々…ということで現在もお手入れには京都の庭屋さんが来られているそう。「改めて来てみるとすごく良い庭園だなあ、飛び石とか延段とか庭石が」と感じる反面、当初はなかったであろう竹の結界が気になるな~とか、それも苔の保全の為だったんだと思うけど、やはり気候変化で苔の緑より土が目立つ庭園ではある。
あと現在は主屋が修繕中のため見れませんが、もう一つ“書院庭”があります。

武田五一に藪内節庵――これが“京都の岡崎あたりにある文化施設”だったら年間数万人は訪れるポテンシャルがあったんだろうけど、地震前の2017年の年間来場実績で4,500人。
ここの為だけに吹田まで来ない気持ちもわかるし、でもやっぱり勿体ない、もっと知られていいはず…って思う。施設のサイトでは生々しく費用対効果が公開されてるけど、当時の人数で一人当たり7,600円のコストが掛かってると。

その上で、今回の被災からの大規模修繕は数億円はくだらない――もっとも、国の重要文化財である故の補助だけでなく、実はこの施設の所有者は吹田市ではなく「国」。相続のあれこれで国有財産になっていて、管理・運営を吹田市が請けてる感じなんだそう。じゃあまあ、お金の心配がないのはいいことだけど――“京都か、京都じゃないか”だけで知名度も来場者も評価も違う分かりやすい施設だなと思ってるので、「こういう所を応援したい!」って施設。

(2017年2月、2021年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR京都線 吹田駅より徒歩10分
阪急千里線 吹田駅より徒歩10分
阪急京都線 相川駅より徒歩15分

〒564-0032 大阪府吹田市内本町2丁目15-11 MAP

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