宗徧流茶道の祖・山田宗徧も好み自ら手を加えたという室町時代の古庭園。国重文など多くの寺宝も所蔵。
大福寺庭園について
「大福寺」(だいふくじ)は平安時代に創建された古刹で、浜名湖「湖北五山」の一つとして『龍潭寺』、『摩訶耶寺』などと並び称されます。室町時代に作庭され、作動宗徧流の始祖・山田宗徧が江戸時代に手を加えたと伝わる池泉回遊式庭園が静岡県指定名勝となっています。
近隣の『摩訶耶寺庭園』までは足を運んでいたけどこの庭園はまだ足を運べていなかったので――この春に初めて訪れました!
大福寺は平安時代に「幡教寺」として創建された後、鎌倉時代に上御門天皇の勅願により現在地に移転し寺名も大福寺に改名。静岡県指定文化財の仁王門から受付まで徒歩にして5分程離れており、その参道の下を第二東名が貫いています――が、その距離が往時の繁栄を感じさせる。
鎌倉時代に藤原信実の描いた「絹本著色普賢十羅刹女像」、室町時代の作で日本最古の笈と言われる「金銅装笈」、そして南北朝時代の「瑠璃山年録残編」と複数の国指定重要文化財をはじめ、数多くの歴史的アイテムを所蔵。
客殿に面した県指定名勝の庭園は室町時代の作庭。摩訶耶寺庭園ほどではないけどこの庭園も東海地方屈指の古庭園で――時代は違うけど築山や石組の感じは摩訶耶寺と雰囲気が似ている。
鑑賞式を兼ねているという池泉回遊式庭園はかつて“浄土苑”と呼ばれたそうで、福助池という名の池中には多くの睡蓮が――今回訪れた春はまだ見頃じゃなかったけど夏には美しくなりそう!また今回は桜が美しい季節だったのですが、秋から冬場にかけて咲く半歳桜もこの大福寺庭園の見所。
江戸時代には宗徧流茶道の祖であり福井の大名庭園『旧御泉水屋敷庭園』も手掛けた山田宗徧が大福寺に滞在中に茶風に池庭の組手を加えたため、“宗徧好みの庭”“宗徧の愛した名園”とも言われるそう。
宗偏は京都では小堀遠州や千宗旦の弟子として茶道を学びました。浜名湖周辺には“遠州三名園”と呼ばれる小堀遠州作庭と伝わる庭園が幾つかあるので――師匠様の造った別の庭園も見てまわったのだろうなあ。大福寺には寺宝として宗徧の残した茶釜や茶臼も残されています。
そして庭園や文化財のほかに大福寺の代表的なものと言えば『大福寺納豆』。室町時代には足利将軍家や今川義元、また桃山〜江戸期以降は豊臣秀吉や徳川家康以降の権力者にも献上されていたという歴史を持つ逸品。徳川家康によって“浜名納豆”とも命名された名産品――あまり意識して食べたことない気がするけど、今度帰省した時また探してみよう(笑)
(2019年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
天竜浜名湖鉄道 三ヶ日駅より3km強(徒歩40分) ※三ヶ日駅にレンタサイクルあり
東名ハイウェイバス(高速バス)「東名三ヶ日」バス停から徒歩20分強
〒431-1411 静岡県浜松市北区三ヶ日町福長220-3 MAP