世界遺産・吉野山で豊臣秀吉も滞留したという宿坊。千利休・細川幽斎の手掛けた庭園は大和三名園の一つ。
竹林院群芳園について
「竹林院群芳園」(ちくりんいんぐんぽうえん)は吉野山にある宿坊。その庭園は千利休が作庭、その弟子・細川幽斎(細川藤孝)が改修したと伝わり、『慈光院庭園』、『當麻寺中ノ坊庭園』(いずれも国指定名勝)と並び大和三名園/大和三大名園に数えられます。
2020年夏、初めて吉野へ行きました!世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」にも構成される吉野山。この一年で高野山、身延山、そして吉野山と足を運んだけれど、吉野の門前街もまた違う趣があって歩いていて楽しかった。(参拝客はかなり少なかったけど…)
ケーブルの駅から標高にして70m坂を登った上千本エリアに建つ竹林院群芳園。その庭園の評判からいつか泊まりたいなあ…と思っていた宿坊だったのですが、GoToトラベルの対象だった&普段は「1名不可」だったけれど現在に限り1名での宿泊も可になっていたので初めて訪れました! 宿坊といっても年代ごとに増築されているようで、客室棟は現代の旅館といった感じ。
その歴史は古く、飛鳥時代に聖徳太子により「椿山寺」の名で建立されたと伝わります。竹林院という寺名となったのは室町時代に後小松天皇の勅命によるもので、室町時代の末頃に21代目住職・祐尊に現在地に移築、庭園もその頃から作庭がはじまったそう。
中世には西行、近世には豊臣秀吉や細川幽斎、そして現代には与謝野晶子といった著名人や文人墨客が好んで滞在し、ロビーの狩野元信筆の屏風「夏冬芭蕉」や秀吉が吉野に観桜に訪れた際の茶弁当をはじめ、数多くの絵画・美術品が館内では展示されています。
そして千利休や細川幽斎の改修と伝わる庭園“群芳園”。千利休の高弟・古田織部や細川幽斎には作庭者として伝わる庭園があるけれど、「千利休が作庭した(手掛けた)」という庭園に足を運んだのは実は初めてでした。
実際のところ文化財指定されているわけではないので現代へかけて改修されているのかもしれないけど、“大和三名園”にこの庭園が含まれるのは他の2つの庭園の紹介でも書かれていたこと。なので歴史的庭園には違いない。
本館の“山水の間”から眺められる枯山水?露地庭?を抜けた先にある池泉回遊式庭園が、桃山時代に利休や幽斎が手を加えたという庭園。池に向けて枝垂れ桜が2つ3つと降りかかっているところからも「これは春に観に来るべき庭園だな」という感じですが、その石組が室町〜桃山時代から残るものだそう。池に浮かぶ船石が独特。
散策路は高台部へと続いていて、あずまやからは吉野の山々の風景と国宝・蔵王堂が遠くにのぞめます。絶景!
…ちなみに「庭園のみの拝観」の情報は公式サイトにも観光情報サイトにも無かったのですが、現在行われている「吉野山 寺宝めぐり」において竹林院は庭園のみの拝観の案内もあった。先に知っていればまた行動も違ったかもしれないけど…でも今はせっかくだから宿泊がオススメ!
(2020年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
吉野ロープウェイ 吉野山駅より徒歩20分強
吉野神宮駅より路線バス「竹林院前」バス停下車 徒歩1分
*宿泊客は送迎バスあり
〒639-3115 奈良県吉野郡吉野町大字吉野山2142 MAP