藍場川の家(室田家)庭園

Cafe Gallery Aibagawa’s House Garden, Hagi, Yamaguchi

山縣有朋誕生地の碑からすぐ近くのカフェ…長州藩士の武家屋敷の庭園。京都『無鄰菴』へ影響を与えた?“藍場川”の水を引き入れた流水式池泉庭園。(通常非公開)

庭園フォトギャラリーGarden Photo Gallery

藍場川の家(室田家)庭園について

【庭園は通常非公開/過去特別公開あり】
「藍場川の家」(あいばがわのいえ)は世界遺産の城下町・萩の南東部“川島地区”に残るギャラリー/カフェ。江戸時代に長州藩主・毛利氏に仕えた武家のお屋敷に隣接し、萩の旧家の庭園を公開する《HAGIオープンガーデン》では『室田家』として江戸時代作庭と伝わる庭園が公開されていました。

幕末の志士や明治維新後に政府の要職を務めた人材を多数輩出し、2015年にユネスコ世界遺産『明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業』にも登録された萩の城下町。そんな歴史ある街には先人の旧宅/武家屋敷や町家に多数の庭園が残ります。萩出身の偉人のひとり、山縣有朋が東京『椿山荘』、京都『無鄰菴』など“山県三名園”を作り上げたバックグラウンドとして、萩の城下町では“庭園”が身近な存在だったことが影響している(のだと思う)。

そんな山縣有朋の誕生地の石碑から程近く、同じ川島町に残る萩藩士の庭園が『室田家』の庭園。室田家文書は山口県文書館に所蔵されている旧家で、すぐお向かいには木戸孝允とともに幕末の長州藩政を支えた山田宇右衛門の旧宅跡も。この一帯が武家屋敷街でした。

邸宅の前に広がるのは江戸時代に開削された“藍場川”を引き入れた池泉回遊式庭園(流水式池泉庭園)で、樹齢250年というもみの木と池の島の中に組まれた2万年前の楠木と伝えられる珍しい珪化木(化石木)がアイキャッチに。
建物と池泉の間には芝生の空間が広がり、東側に田床山が眺められる開放的な庭園となっています。この空間やギャラリーを利用してオープンガーデンではミニコンサート等の会場にもなっていました。

藍場川から水を引き入れた池泉庭園…というスタイルは近隣の公開武家屋敷『旧湯川家屋敷』も同じですが、この室田家の庭園の奥からは川を隔てたお向かいの家にも同じような庭園を見ることができます(非公開の個人邸)。山縣有朋が、水を共有する『無鄰菴』の様な庭園を作り上げたバックグラウンドはまさにこの“藍場川”にあった…ということが感じ取れる。

2009年にオープンした藍場川の家はカフェ利用はもちろん、不定期でアーティストの個展/作品展を開催。訪れたタイミングでは、この藍場川でかつて営まれていた“藍染”を復活させるべく東京→萩へ移住し活動している藍染作家・藍染しんごさんの個展が開催されていました。
なお普段のカフェ利用では庭園見学は不可ですが、HAGIオープンガーデン以外の機会でも公開することがあるかも…?とのことなので、公式インスタをフォロー/チェックしてみて。

(2024年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR山陰本線 萩駅より徒歩20分
JR萩駅より路線バス「橋本町」バス停下車 徒歩5分
JR山陰本線 東萩駅より徒歩25分(※駅前にレンタサイクルあり)

〒758-0031 山口県萩市川島294 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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