こんなコワーキングスペースの近くに住みたい!2021年秋に誕生した長浜の新たな拠点。北国街道に面する江戸時代の商家/町家と庭園。
BIWAKO PICNIC BASEについて
「BIWAKO PICNIC BASE」(びわこピクニック・ベース)はかつて羽柴秀吉(豊臣秀吉)が治めた城下町・長浜に2021年秋に開業したコワーキングスペース。「黒壁スクエア」のある“北国街道”の古い町並みに面した江戸時代中期の町家/商家が改装され、町家の庭園を眺めながら作業することができます。
2022年7月に1年数ヶ月ぶりに長浜へ。長浜の庭園を紹介する冊子『ながはまのお庭』を以前いただき、こちらを参考にいくつかの町家の庭園を巡るのが目的…だったんだけど、その冊子にも載っていない一番のお目当てはこのコワーキングスペース!
駅からも徒歩5分以内と近く、北大路魯山人ゆかりの『北国街道 安藤家』のすぐお向かい。前回、1年数ヶ月前に安藤家を訪れた時はお向かいがこんな感じになる素振りもなかったような…。
元は東邸と呼ばれる江戸時代には紙問屋を営んだ商家で、近年までは個人宅として使用されていました。
古民家の建物や蔵・梁は残しながら、開放的に生まれ変わったBIWAKO PICNIC BASE。1階は中庭を眺めながら作業できるフリーラウンジやキッチン(カフェ・バーも)、蔵を活用したミーティングスペース、そして2階には入居できるオフィススペースも。
地元・長浜バイオ大学のサテライトキャンパスも兼ねているようで、訪れた日は学生さんの発表の最中だった。そんな学生さんから地元の社会人までが気軽に出会える場所…という思いが“ピクニック”という言葉に込められているとか。
京都にも町家・古民家を改装したコワーキングスペースがあるけれど、このBIWAKO PICNIC BASEはなんとドロップイン利用が500円!安い…。しかも町家の庭を眺めながら作業できる。近くに住みたくなるな…。
中庭は従来の町家の庭園を活かしながら、今回の開業のためにリニューアルされたお庭。主屋から向かって右手の建築にテラスが設置されたり、土ではなく砂利が敷かれ、この庭園も今後はイベント等でのスペースとしての利用のしやすさが配慮されている。中庭の奥に円窓が見えるのが良い感じ!
改修を手掛けたのは地元・長浜の中川造園さん。初代・中川源蔵さんは七代目小川治兵衛の国指定名勝『慶雲館』など古庭園の修復にも携わり、先述の『ながはまのお庭』のプロジェクトにも関わっておられます。この庭園は現代京都の有名作庭家・北山安夫さん(北山造園)に師事された二代目・中川茂樹さんによるもの。
中川茂樹さんが自らのブログに綴ったグッドデザイン賞への思い…
《庭園業界には、若手の登竜門となるような大々的な評価を得るための場がありません。そして、社会的な権威がある評価体系もありません。頼れる場所は、グッドデザイン賞ぐらいしかないんです。》
という一文は若手造園家のリアルな思いを知れてすごく良いと思った。
一方でこのBIWAKO PICNIC BASEや長浜のまちづくりはグッドデザイン賞にノミネートされてもおかしくない点・店舗がたくさんあるよなぁって思う。そうした間接的な所からでも「庭園」が選ばれる要因の一つになれれば…とか!(「ながはまのお庭」もBIWAKO PICNIC BASEに出入りしている方にデザインしてもらったり…とか!)
(2022年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)