国宝の本堂と旧国宝の仏像が多数見られる寺院に残る、最澄が桓武天皇を治癒した霊水による池泉回遊式庭園。
岩根山 善水寺について
「岩根山 善水寺」(ぜんすいじ)は南北朝時代・1366年に建てられた本堂が国宝となっている寺院。同じ湖南市の国宝寺院『長寿寺』、『常楽寺』とともに“湖南三山”と呼ばれます。2019年夏に『西應寺庭園』で初めて湖南市へ訪れた流れで初めて訪れました。
国宝の本堂の袖にある“百伝の池”(ももつてのいけ)が池泉回遊式庭園となっています。現在の姿は近年、地元・湖南市の造園会社・花芳さんにより改修が手掛けられたものですが、池泉の歴史は平安時代初めまで遡ります。
創建は奈良時代はじめの和銅年間(708~714年)という古刹。平安時代はじめ、最澄が比叡山建立の木材を用意するためこの地を訪れた際にこの“百伝池”を発見。元々山から流れ込む水によって生まれたこの池泉、最澄は池中から金の薬師仏を見つけるなどこの池の水は霊水だと気づく。その後、病の桓武天皇に献上し治癒を祈願したところ一週間程度で回復したことから、現在まで続く“善水寺”という寺名を賜ったそう。
現在の百伝池は晩春〜初夏にかけてはサツキツツジやショウブの花が見られるそうなので、紹介してるこれからの時期が見頃を迎えそう。
見どころはお庭ではなく南北朝時代の1366年に建てられた国宝の本堂と、何体も所蔵されている国指定重要文化財(旧国宝)の平安時代〜鎌倉時代の仏像。
993年作の秘仏のご本尊・薬師如来坐像をはじめ、梵天・帝釈天立像、毘沙門天立像、持国天・増長天立像、四天王立像、不動明王坐像、僧形文殊坐像、金銅誕生釈迦仏立像、金剛二力士立像…が国重文。他にも県や市の文化財の鎌倉〜室町期の仏像も。
自分はあまり仏像には明るくないのですが、旧国宝クラスの仏像がこれだけ間近で見られる寺院、あまり体験したことない…いや、思い返すと滋賀では何度かあるんだよな…滋賀県にはしれっと格式高い仏像を公開しているお寺が多い。近江国としての歴史を考えてもマジで宝庫。
本堂の“百伝池”の逆側にはサルスベリが見頃を迎えていた枯山水のお庭も。そして今回は本堂と同じ標高にある駐車場に原付で訪れる…という感じだったけど、山の麓から表参道から訪れると途中にも江戸時代に建立された観音堂なども残ります(そこにも池泉があるっぽい)。次回は参道を登りたいなあ。
この善水寺と、“湖南三山”の他の2箇所、長寿寺と常楽寺はいずれも紅葉の名所として知られ、訪れたのは真夏だったのにもう紅葉の三山巡りのポスターが貼られていた。いつか秋の三山巡りしたい!
(2019年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR草津線 甲西駅より約5km(駅にレンタサイクルあり)
甲西駅よりコミュニティバス「岩根」バス停下車 徒歩10分
最寄り駅はJR草津線・三雲駅 約4km
〒520-3252 滋賀県湖南市岩根3518 MAP