日本の歴史地理学のパイオニア・吉田東伍の生家である明治・大正期の屋敷と苔と石組の美しい中庭。
吉田東伍記念博物館について
「吉田東伍記念博物館」(よしだとうごきねんはくぶつかん)は近代に活躍した地理学者・吉田東伍の生家とそれに隣接した建物を利用した博物館。
2019年のGWに新潟・安田の街に行った経緯は『孝順寺庭園(旧斉藤家本邸)』の方に書いたけど――簡潔に言うと「新潟市内で宿が取れなくてたまたま安田で宿が取れたから」。
そこで「ああ、ちょうど孝順寺があるからそこ寄ろう」とは決めたものの、地図で見てたらこの…古民家を活用したような博物館があることにも気付いて、寄ってみようと。安田は江戸時代には安田藩の城下町であり(短命だったけど)、宿場町でもありました。現在も多少古い町並みの雰囲気が残っており――街道沿いのこの博物館もその一つ。孝順寺からは徒歩5分程。
まず吉田東伍について。勉強不足で自分は知らなかったのですが――明治時代に13年もかけて日本全国の地名の変遷・由来・風土をまとめた『大日本地名辞書』の著者で、日本の歴史地理学のパイオニア的存在。……と言われても正直ピンと来ないかもしれないけど、その序文には大隈重信、渋沢栄一、新渡戸稲造らをはじめとする政治家から作家まで著名人が名を連ねています。
吉田東伍は当地の豪農・旗野家の出身(吉田姓は婿養子に入った先の姓)。この旗野家は「角屋」という屋号で、保田の街でも屈指の山林地主であり、また質屋・酒造業も営んでいたそう。
現在も残る屋敷は明治時代に造られ、その後大正時代に改修を経たものとのこと。なのでこの中庭も明治・大正期の名残なのかなあと…規模は(他の新潟の豪農屋敷と比べると)決して大きいものではないですが、きれいな苔と飛び石の雰囲気は阿賀野〜新発田のそれ以外の庭園と似たものを感じる。
なお新発田の豪農・市島家は吉田東伍や旗野家にとっても親戚にあたったそうで、先の『大日本地名辞書』の編さんにあたっても資金援助をする関係にあったとか。(パトロン的存在?)
安田には孝順寺やこの旧旗野家以外にも雰囲気のある大きな商家が残されている――あと寺社仏閣も集落ごとにあったりするので。まだ知られていない庭園があったりするんだろうなあ――いつかまた訪れたい町!
(2019年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR磐越西線 五泉駅より約8km(※駅にレンタサイクルあり。冬季休業)
JR羽越本線 水原駅より路線バス「保田四つ角」バス停下車 徒歩2分(水原駅までも新潟市内からは路線バスが便利…?)
新潟駅⇒村松駅・会津若松駅行の高速バス「安田IC前」バス停下車 徒歩25分(自分が利用したのはこれでした)
〒959-2221 新潟県阿賀野市保田1725-1 MAP