東伏見宮家の別邸を引継いだ高級料理旅館。国登録文化財の近代和風建築と、東山連峰の借景が美しい庭園も!
吉田山荘(旧東伏見家住宅)について
【庭園は本館利用者のみ散策可】
「吉田山荘」(よしださんそう)は京都・吉田山の高台にある高級料理旅館。その建築は旧皇族で『青蓮院門跡』の門主もつとめた東伏見慈洽が京都で過ごすため東伏見宮家の別邸として昭和初期に建てられた近代建築で、「吉田山荘(旧東伏見家住宅)」として本館・表門・旧門番所・旧車庫・北蔵・南蔵が国登録有形文化財となっています。
旧皇族の邸宅ーーというだけで格式の高さが伝わるのですが、料理旅館としての創業も1948年で既に70年以上の歴史を重ねておられる吉田山荘。
料理旅館なので、宿泊やお食事(会席)での利用が基本になりますが、旧車庫を利活用した『カフェ真古館』は比較的気軽に利用することができるかな?と思います。
…なんだけど、カフェ利用のみでは本館や庭園の見学は不可。
初めて訪れたのは2020年6月、コロナ禍限定で実施していた『リモートワークスペース 貸出プラン』を利用(*現在は終了)。庭園が眺められる場所でリモートワークしたいなあ…という所からはじまり、まして吉田山荘のようななかなか入るチャンスが無い、本気で敷居が高い場所に訪れるチャンスができて願ったりかなったり…!当サイトで紹介している本館の写真はその際のもの。
そして不定期でイベントも。2022年6月2〜6日のあいだ、吉田神社の『吉田山大茶会』にあわせてカフェ真古館で『山崎さおり 茶器展』、離れで『真砂三千代の茶衣 (sai)』が開催。その際に久々に庭園を歩かせていただきました。
建物の話から。見るからに「ここは格式の高い場所だ…」と感じる表門。こちらは世界遺産『法隆寺』の伽藍再建を手掛けた宮大工・西岡常一棟梁によるもの。坂を登るとカフェ真古館と本館が迎えてくれます。
本館について。吉田山荘のSNSのアイコンにもなっている玄関のステンドグラスは「直弧文鏡」(ちょっこもんきょう)という“古墳時代の銅鏡の背面文様”が原形。意図したのか偶然か、その外縁が片仮名の“フシミ”という文字が埋め込まれているように見えることから東伏見さまが気に入って使っていたとのこと。
外観は和風ながらこのステンドグラスが至るところに埋め込まれており、内装も全体的に和洋折衷の近代和風建築といった趣き。表門だけじゃなくこちらも一流の建築家・大工棟梁が関わっていないはずがない…。
庭園へ出ると、東山連峰の眺めが絶景!(『真如堂』の国重要文化財の三重塔も真正面に。)芝生の中に桜やダイスギにマツ、ツツジ・サツキなどが植わっている近代風の日本庭園。またモミジも多いので秋には紅葉も美しいです。
…リモートワークプランで利用した本館の中では裏菊紋の意匠も見られたりして、そんな部屋でZoomしてるのはすごく貴重な体験だったなあ…。お食事に訪れる機会はそうそう無いかもしれないけど、今後もイベントはチェックしたい!
※あと、実は気になるのは1932年(昭和7年)という建築の年代。『近代京都オーバーレイマップ』だと大正11年の時点で同じ形をした建造物があるんですよね…。実際の建造年代がその頃だったとしたならば、邦英王のためとかでなく元々東伏見宮依仁親王のために建てられた別邸だったのでは、という気もしてくるわけで。
(2020年6月、2022年6月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
京阪本線 神宮丸太町駅・出町柳より徒歩25分
京都市営地下鉄東西線 東山駅・蹴上駅より徒歩30分弱
最寄りバス停は「錦林車庫前」バス停下車 徒歩9分
〒606-8314 京都府京都市左京区吉田下大路町59-1 MAP