永興寺庭園Yokoji Temple Garden, Iwakuni, Yamaguchi

周防国守護・大内氏が開いた寺院の2つの枯山水庭園。地元・岩国の黒川造園の石庭と夢窓疎石作庭の庭園。

庭園ギャラリーGarden Photo Gallery

永興寺庭園について

「不動山 永興寺」(ようこうじ)は国指定名勝の『錦帯橋』からも程近く、岩国藩主・吉川家の居館跡や国指定重要文化財「吉香神社」も含む都市公園『吉香公園』のはずれにある寺院。境内には夢窓疎石と伝わる岩国市指定名勝の庭園があります。

2019年秋、5年ぶりに錦帯橋と吉香公園を訪れた流れで、紅葉を見に隣接する『紅葉谷公園』を散歩――していたら、道沿いにあるお寺の門の先に“名勝 永興寺庭園”の柱が…!この庭園はノーマークでした。自由拝観形式で2つのお庭が拝観できます。

まず新しい薬師堂の前にある石庭。2014年に完成した、白砂も美しいこの新しい庭園の作庭者は地元・岩国市の黒川造園さん。公式HPもSNSもないような地元のお庭屋さんだけど、岩国市内に非公開の“苔華庭”という美しい庭園も作庭されていて、これは例年GWのみ公開されるそう――と言ってもその情報の最新が2016年なので、2021年以降どうかは不明。電話で要問合せを。

そして参道の奥にもう一つ、山の斜面の岩壁を活かした枯山水庭園があります。市の名勝となっているのはこちらの庭園。これが寺伝によるとなんと室町時代に夢窓疎石の作庭によるもの。
歴史を振り返ると永興寺は臨済宗天龍寺派の寺院で、周防国守護をつとめた大内氏の八代目当主・大内弘幸により鎌倉時代末期の1309年(延慶2年)に創建。夢窓国師は二代目住職を務めたそうで、現在もお寺には夢窓国師坐像や開山の仏国国師が残ります。

大内弘幸と息子・大内弘世足利尊氏とも関係が深かったらしく。夢窓疎石が関係することになったのはそうした縁もあるのかな。岩壁との中間地点にはまた別の枯山水の石組がありますが、岩壁側に残る石組の龍門瀑や鯉魚石が京都の世界遺産庭園『天龍寺庭園』などとの類似性を感じる――とのこと。

当初は現在の吉香公園一帯を境内とする大寺院だったようですが、関ケ原の戦い後に岩国に入った城主・吉川広家によって居館などに転用され縮小。1617年(元和2年)頃に現在地に伽藍をかまえ、明治時代の廃仏毀釈で更に規模が縮小されたものの現在に残り続けました。

…てことはもしかしたら疎石の作った庭園の位置も当初からは変わっている可能性も。文化財指定されてるのだから歴史的裏付けはあるんだろうけど。以前読んだ夢窓疎石を取り上げたムック本では周防国に行った足取りはなかったけれど、ムック本の方が信憑性高いかと言えばそんなことないと思うので…信憑性よりも“この場所にそんなお寺が!”という出会いが楽しい。

最後にも一つ面白いのが。これを行った時に写真撮った復興計画図面を改めて見ていたら、クレジットに「+日本造園設計」の文字が…。改めてお聞きしたところ、今後枡野俊明さんが新たな庭園を作庭する予定があるのだとか。完成した頃、青モミジの紅葉谷公園や“苔華庭”とあわせて再訪したい!

(2019年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR山陽本線 岩国駅より路線バス「錦帯橋」バス停下車 徒歩10分
JR岩国駅より約5km(レンタサイクルあり)
JR岩徳線 川西駅より徒歩20分

〒741-0081 山口県岩国市横山1丁目10-27 MAP