いずれ世界遺産に…?近代の巨匠:フランク・ロイド・ライトが設計、遠藤新らにより完成されたモダン建築。国指定重要文化財。
ヨドコウ迎賓館(旧山邑家住宅)について
「ヨドコウ迎賓館」(よどこうげいひんかん)は近代建築の世界的巨匠、フランク・ロイド・ライトが設計を手掛け大正時代に完成した住宅建築で、「旧山邑家住宅」として国指定重要文化財。2019年に世界遺産に登録された『フランク・ロイド・ライトの20世紀建築作品群』…に現在は含まれていませんが、追加候補になっています。
庭園じゃないけど庭園的な空間が好きな人はきっと好きなはずってことで紹介。東京でも『自由学園明日館』(こちらも国指定重要文化財)は3回ぐらい観に行ったし、ニューヨークでも先の世界遺産に登録された『グッゲンハイム美術館』には足を運んでたけど、ヨドコウ迎賓館を知ったのはその世界遺産のニュースで。2019年末に初めて訪れました。
元は江戸時代初期・寛永2年創業の神戸・灘の酒造会社“櫻正宗”の八代目山邑太左衛門の別邸として、帝国ホテルの建設のために来日していたフランク・ロイド・ライトが設計が手掛けられたもの。氏の帰国後は弟子の遠藤新、南信らによって建設され1924年(大正13年)に竣工。
そののち戦後は淀川製鋼所の所有となり、社長邸・独身寮などとして使用され(ここが寮だったなんて羨ましい…)、1989年(平成元年)より一般公開。阪神大震災の後や、2016〜2018年にそれぞれ保存・修復工事が行われて現在に至ります。
建築の各部屋に関する解説は公式サイトが充実しているのでそちらを見ていただくとして。
「外観がかっこいい」とかそんなことは序の口で、外装やエントランスに大谷石がふんだんに使われている中で、階が進むにつれ所々で木の温かみを残し、ほんでもって開放的なガラス窓が設けられている。内装には所々で和風の要素が取り入れられていて、畳の部屋があったり。
そして六甲の斜面に沿って建てられたこの建築は周囲の山並みから大阪湾の海の風景まで楽しめる眺望。最高だなー。
“庭園”のようなものはないけど(入場できない上段部に芝生広場っぽいものはある)、ライトの他の代表作の写真を見ると自然と溶け込んで広いお庭があるような建築が多いんですよね。ここも門〜入口までの植栽、部屋の中からも目の前に紅葉が飛び込んでくるような場所もあったり、模型だと池泉庭園っぽいものが表現されていたり。“感動できる建築”だと思えるのは、その魅力が“建物だけではない”からなんだな。(←?)
なお2020年には元は酒造会社の邸宅だったこの建築も構成遺産とされた《「伊丹諸白」と「灘の生一本」 下り酒が生んだ銘醸地、伊丹と灘五郷》が日本遺産に選ばれました。近隣には同じく近代の建造物を用いて展示している『滴翠美術館』があります。
(2019年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
阪急神戸線 芦屋川駅より徒歩6分
JR神戸線 芦屋駅より徒歩15分
阪神本線 芦屋駅より徒歩20分
JR芦屋駅・阪急 芦屋川駅より路線バス「開森橋」バス停下車 徒歩2分
〒659-0096 兵庫県芦屋市山手町3-10 MAP