奥州藤原氏時代の政庁・平泉館の跡と推定され、世界遺産暫定リストにも記載された回遊式庭園の遺構。
柳之御所遺跡について
「柳之御所遺跡」(やなぎのごしょいせき)は奥州藤原氏時代の政庁「平泉館」の跡と推定されている場所で「柳之御所・平泉遺跡群」として国指定史跡となっています。2010年に史跡公園としてオープン。世界遺産『平泉 ―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群―』には構成されていない(除外された)ものの、現在は暫定リストに記載。
平泉駅や北上川からも程近く、すぐ向かいには道の駅があるので車通りは比較的多い場所にこの公園はあります。平成年代に実施されたバイパス建設工事のための事前調査の最中に多くの遺構が出土され、国の史跡になったのは平成9年。なおここで発掘された数々の出土品は「柳之御所資料館」(現在は休館中で2021年頃に再開予定とのこと)に展示されています。
公園としてオープンしたのも近年で『観自在王院跡庭園』と比べると新しい史跡ですが、鎌倉時代を代表する歴史資料『吾妻鏡』にも記された平泉の中心地。奥州藤原家の初代・藤原清衡、二代目・藤原基衡の屋敷跡という伝承や、源義経終焉の地・高館からも近いことから義経の居所としても言われたとか。
復元された園池は元は平安時代末期に作庭されたと推定されている浄土庭園風の池泉回遊式庭園。現段階では周囲に建物がないから日本庭園として観に来る人は少ないかも知れないけど――金鶏山など周囲の山の借景は美しく、国内でも数少ない貴重な平安時代の庭園の遺構には違いなく。
現在も毎年遺跡の発掘調査が続けられており将来的には建造物を復元するという計画(願望)もあるようです。自分がもっともっと歳を重ねた頃かもしれないけど――いつかその姿見てみたいなあ。
(2011年9月、2019年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)