東京・中目黒の都会の中心に現れた“市中の山居”…人気ブランド《visvim》の新店舗に現代日本の庭師の巨匠・安諸定男が作庭した庭園。
VISVIM GENERAL STOREについて
「VISVIM GENERAL STORE」(ビズビム・ジェネラル・ストア)はデザイナー/クリエイティブ・ディレクター:中村ヒロキさんが立ち上げたファッション・ブランド《visvim》の2022年に東京・中目黒にオープンした新店舗。各棟から眺める庭園は現代の作庭家・安諸定男(安諸庭園)さんにより手掛けられました。
国内外で人気をほこるファッション・ブランド《visvim》。桜の名所として春にはより多くの人が行き交う目黒川沿いの一軒家を改装して2019年にオープンした「WMV VISVIM TOKYO」を皮切りに、新たにその裏手の2棟の一軒家を改装・空間を繋げ今回新たにオープンしたのが「VISVIM GENERAL STORE」と「VISVIM GALLERY」。
コンセプトは「萬屋(よろずや)」。今回訪れた時はギャラリーで中国の伝統的な藍染布“藍印花布”の展示・販売が行われていたり、visvimが手掛けるマガジン「Subsequence」の展開、そしてカフェ「little cloud coffee」など、アパレルだけに限らず訪れる方々への多方面のカルチャーを発信/提案。
その店舗デザインは中村ヒロキさん自身が手掛けており、服作りでも日本の職人の技を大切にされているvisvimのブランドイメージ通り、茶室/露地門のような杉皮葺の門、土塀や本漆喰の壁などもこだわって職人により仕上げられたもの。
その職人のうちの一人が現代の庭師の巨匠・安諸定男さん。中村ヒロキさんの住む古民家の庭園をかつて作庭したのが安諸さんだった…という縁から、安諸さんにとっては約10年ぶりに新たに手掛けることになったのが「WMV VISVIM TOKYO」の庭園(ということは『湯島天満宮』以来かな…)で、更に小川の流れる庭が誕生しました。
中村ヒロキさんからの“京都の美山の山里のような風景を作って欲しい”という依頼から具現化されたこの庭園。まず驚くのが中目黒の都会ど真ん中とは思えない自然石の石積みと、緩やかな曲線の土塀“太鼓塀”。北山杉を背景に小川が流れ、その中にはあまり見掛けることも多くなくなった蛇籠…店舗の中から眺めると“市中の山居”という感覚が味わえる。
VISVIM GALLERYの室内もその庭空間を感じられるよう意識して窓が設置されていて、中でも水琴窟の姿を切り取るよう見せている奥の窓は京都の『大徳寺 孤篷庵』の“忘筌”をオマージュしたもの。
竹垣に竹細工、敷石に今後育ってゆく植栽…まさに“庭師”の技が凝縮された空間。ぜひアパレル好きの方が“日本の庭の美”に興味を抱くきっかけにもなって欲しい庭園。
(2022年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)