辻家庭園Tsuji-ke Garden, Kanazawa, Ishikawa

金沢市街を一望できる高台に造営された加賀藩重臣・横山家の別邸と、七代目小川治兵衛(植治)による名庭園。

庭園ギャラリーGarden Photo Gallery

辻家庭園(前田家家老旧横山家迎賓館)について

「辻家庭園」(つじけていえん)は七代目小川治兵衛(植治)が北陸地方で作庭した数少ない庭園で、庭園は金沢市指定名勝、そして主屋や表門が国登録有形文化財となっています。これまで何度か金沢へ訪れる中で、この庭園は中心地からは少し外れてたので足を運んでおらず…今回初めて訪れたのですが、高台からの景色が素晴らしい名庭園だった…!
そして植治の庭園だと知ったのは今この記事をアップしようとパンフレットを開いたところで(笑)それを知らずに訪れて、それ関係なくめちゃくちゃ感動して。決して植治の庭だからオススメ☆☆☆☆☆を付けてるわけではなく純粋に素晴らしく――『苔の里』と並んでこの旅で印象に残った庭園。

辻家庭園は国の重要伝統的建造物群保存地区「金沢市寺町台」から程近く、寺町通りから一本入った高台にあります。2013年、現存していた歴史的建造物と庭園を最大限活かしてリノベーションされ、現在は結婚式場やレストランとして運営されています。結婚式が行われていない時(かつ季節に応じた営業時間内)のみ、庭園のみの見学も可能(なので土日祝に訪れたい場合は事前の電話確認がベターです!)。

加賀藩の重臣「加賀八家」にも名を連ねていた加賀藩家老・横山家の一族が明治時代後期〜大正時代に造営した別荘兼迎賓館。当時の横山家は銅山の経営に成功し「北陸の鉱山王」とも言われたそう。斜面下の低地部含めた敷地の広さは6600平方メートル!そこに現在の換算で約40億円もの巨額を投じてこの邸宅と庭園が作られました。
国登録有形文化財となっている主屋は大正時代の建築で、美しいコバルトブルーに塗られた『群青の間』の意匠や、高台にせり出した座敷からの庭園・市街地の眺めが素晴らしい!金沢に現存する最大級の邸宅建築の一つとも。

代表作の一つ『無鄰庵庭園』など京都を中心に数多くの名庭園を残している7代目小川治兵衛ですが、北陸地方で手掛けた庭園はここのみ…?調査不足なだけかもしれないけど、北陸では初めて見ました。
高台からの市街地や卯辰山が借景が素晴らしい回遊式庭園――金沢には数多く庭園が残りますが、このような眺望を持つのは『兼六園』とここだけ。また作庭当初は『兼六園』と同規模の広さを誇っており、その中には季節ごとのお庭があったそうですが――現在残っている庭園はその中の主に“秋の庭園”のみ。
規模のことはさておき(現在結婚式場の「新館」が建っている場所も庭園だったのだろうなあ)、秋に映える植栽になっているのかと思うと……今回訪れた早春ではなくどう考えても秋に訪れるべきですね……気が早いけど次回は秋に訪れたい!この時期でも大変感動したのに秋に訪れたらどうなるやら…。

高台部の主屋の周辺は戦後の辻家の所有となった後に多少手が加わっているようですが、一方で低地部から眺められる眺められる大滝は作庭当初の姿を保ったものだそう。苔の生えた石に赤石に巨石…石組もタダの庭石じゃないな〜とは思ったけど、日本の各地から仕入れ・運搬されてきたものだそう。中には四国から伊予の青石も。更に滝下で表されている渓谷に用いられているのは富士山の溶岩。正に贅を尽くされた庭園――
庭園見学では立ち入れない、結婚式場フロアの上?からの公式の写真がまた素晴らしい……金沢には縁もゆかりもないけど、誰か呼んで〜(笑)

※ちなみに辻家庭園のパンフレットに『椿山荘庭園』も小川治兵衛が手掛けたとあるのですが、この情報は初めて見た気がするぞ……椿山荘には関わっていない認識だったけど違うんだっけ……と思ってとりあえずググってみました。
造園史家・鈴木誠さん、粟野隆さんによる『山縣有朋の庭園観と椿山荘』の冒頭に“植治と出会う以前に造営した椿山荘庭園”とあるので、パンフレットの情報は勘違いで書かれたのかしら。それはさておきこの論文、超面白い…。

(2019年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR北陸新幹線 金沢駅より約4km(市内各所にレンタサイクルあり)
北陸鉄道石川線 野町駅より徒歩約20分
金沢駅より路線バス「寺町一丁目」バス停下車徒歩3分

〒921-8033 石川県金沢市寺町1丁目8-48 MAP