金沢の美術館ゾーンに残る金沢市指定保存建造物の古民家“旧中村邸”や茶室“耕雲庵”“梅庵”とその庭園。
金沢市立中村記念美術館 茶室“耕雲庵”について
「金沢市立中村記念美術館」(かなざわしりつなかむらきねんびじゅつかん)は“本多の森”の麓に1966年(昭和41年)に開館した美術館。『鈴木大拙館』(松風閣庭園)とは“緑の小径”で繋がっており、『金沢21世紀美術館』からもすぐ。敷地内には“耕雲庵”“梅庵”という2つの茶室と昭和初期の古民家“旧中村邸”とそれぞれの庭園があります。
2020年と2021年に訪れたのでその時の写真を紹介。(それ以前も美術館には訪れたことがあったんだけど、その頃は茶室前の庭園にそんな興味を持てていなかった…。)
現在も金沢市に残る、江戸時代後期(文政年間)創業の「中村酒造」。近代の当主・中村栄俊は酒造業での成功に加え、金沢市議会議員もつとめるなど金沢の政財界に影響を及ぼしました。
そして好事家として茶道・美術を愛し、茶道具をはじめ様々な美術品を収集。そのコレクションを収蔵・展示する場として1965年(昭和40年)に『中村記念館』が設立。その後1975年(昭和50年)に所蔵品が金沢市に寄贈され、金沢市立の美術館として生まれ変わりました。コレクションには後鳥羽天皇の書や夢窓疎石墨蹟など5点の国指定重要文化財も。
平成元年に竣工した本館の喫茶室から、茶室“耕雲庵”と苔むした庭園が眺められます(喫茶利用で散策可)。
この主庭園にある耕雲庵は江戸時代末期に金沢の海べり、粟崎で海運業を営んだ豪商・木屋藤右衛門が京都の数寄屋大工に建てさせたと伝わる茶室。その後、鉱山業を営んだ横山家(って加賀八家の横山家?)などを経て中村家に移り、2001年(平成13年)に現在地に移築されました。
本館の斜め向かいに建つのが金沢市指定保存建造物の『旧中村邸』(中村家住宅)。1928年(昭和3年)に中村栄俊の父・中村栄助により住居として建築された古民家で、記念館が開館する際に展示棟(本館)として現在地に移築。
現在は美術館の別館として用いられ、イベント時のみ公開されています(春・秋には一般公開イベントも)。2020年に訪れた時はたまたま展示で使われていたので入ることができた。
そして旧中村邸の庭園内にある茶室が“梅庵”。そのイベントの際もこの茶室は見学できなかったのですが…1966年の記念館開館時に新築されたもの(その一部は中村家にあった茶室から移築)。裏千家の茶室“寒雲亭”を模した造りが特徴なのだそう。主庭園と比べて自然風の『旧中村邸』奥の露地庭。次回訪れる際はそちらも歩けたらいいなあ。
(2020年9月、2021年6月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR北陸新幹線 金沢駅より路線バス「本多町」バス停下車 徒歩3分/「広坂・21世紀美術館」バス停下車 徒歩5分
JR金沢駅より3km(駅周辺にシェアサイクルあり)
〒920-0964 石川県金沢市本多町3丁目2-29 MAP