鞆の浦（鞆公園）

鞆の浦（鞆公園）について

「鞆の浦」（とものうら）はかつて“潮待ちの港”として栄え、江戸時代に形成された古い町並みの残る景勝地。その一帯の風景が「鞆公園」として“ランドスケープの国重要文化財”国指定名勝、町並みが2017年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。日本遺産《瀬戸の夕凪が包む国内随一の近世港町　～セピア色の港町に日常が溶け込む鞆の浦～》構成文化財。

山陽新幹線・福山駅からバスで約30分。白壁の建築越しの大きな常夜灯の風景が有名な鞆港／鞆の浦。一帯には江戸時代～大正時代のレトロな建築が数多く（約280棟も！）残る広島県内の人気観光地の一つでもあり、近年はジブリ映画『崖の上のポニョ』の舞台（モデル）にもなりました。町並みには宮崎駿デザインの古民家レストランも。

その歴史は古く、奈良時代『万葉集』にも詠まれた鞆の浦。江戸時代には豊臣秀吉の家臣としても有名な大名・福島正則が居城『鞆城』を築城し城下町を整備。お城は福島正則が改易されると廃城になりますが、町は北前船など海運の発達にともない発展。幕末には坂本龍馬らが結成した海援隊が運航していた「いろは丸」が鞆の浦沖で沈没する事件が起きるなど歴史の舞台にも。

しかし近代に鉄道網が発達すると港町としては衰退。近現代の開発から遅れた結果、今日まで貴重な古い町並みを残すことになりました。ここでは鞆の浦の代表的なビュースポットを2箇所紹介。

■医王寺（3～9枚目）
鞆の浦の背後にそびえる「後山」の中腹にある高野山真言宗の寺院・桃林山慈眼院医王寺。福島正則が再興し、その後の福山藩主・水野勝成、水野勝種が鐘楼・本堂を建立。

本堂・鐘楼から更に500段ほどの石段を登った先にある「医王寺太子殿」からの眺めが特に絶景！「仙酔島」を中心に美しい瀬戸内海の風景、晴れた日には奥には四国山地までの景色を楽しめます。幕末にはシーボルトも山の小径を訪れたとか。

■福禅寺 対潮楼（1・11～13枚目） 鞆の浦の街を一望する医王寺に対して、鞆の浦の街なかにあるビュースポットが福禅寺。こちらも真言宗寺院で、平安時代の950年に空也上人による創建と伝わります。
江戸時代に入り、元禄年間に建立された客殿が「対潮楼」。1711年に鞆の浦を訪れた朝鮮通信使・李邦彦はこの客殿からの仙酔島の眺めを《日東第一形勝》と称賛。「朝鮮通信使遺跡鞆福禅寺境内」として国指定史跡にもなっています。

宮崎駿さんも一ヶ月も滞在された鞆の浦。町並み、寺社仏閣、眺め、文化財・史跡、そして海の幸に温泉…と満喫してみて。

（2014年8月、2017年12月、2024年5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。）