新たな都会のオアシス…国指定重要文化財の“日本最古のデパート”三越本店に2019年に作庭された池泉回遊式日本庭園風の屋上庭園。
日本橋三越本店 屋上庭園“日本橋庭園”について
「日本橋三越本店」(にほんばしみつこしほんてん)は東京・日本橋にある大手老舗デパート“三越”の本店・旗艦店で“日本最古のデパート”。その本館は国指定重要文化財で、屋上には屋上庭園“日本橋庭園”があります。
東京に居た頃はそんなに縁がなかった三越本店…(仕事で三越前に通ってた時期もあったんだけど)。都市緑化を紹介する冊子で日本橋庭園が紹介されていて、数ある屋上緑化・屋上庭園の中で最も日本庭園、池泉回遊式庭園らしい姿だったのがすごく気になって。2022年に初めて訪れました!
江戸時代初期に江戸・日本橋で創業した“越後屋”三井呉服店。近代には三井銀行の設立をはじめ多業種を展開し“三井財閥”の礎を築いた一方で、呉服店部門が分離・独立したのが「三越」のはじまり。
1904年(明治37年)、株式会社三越呉服店の設立と同時に行った「デパートメントストア宣言」によって日本で最初の百貨店が誕生しました(諸説あるそうだけどここでは深堀しません)。
国と重要文化財となっている本館は1935年(昭和10年)の竣工で、江戸時代には越後屋三井呉服店のあった場所に建ちます。中央の吹き抜けやレトロなエレベーターが建物の歴史を感じさせる。
三越の“屋上庭園”の歴史はそれより古く、1907年(明治40年)に建設された仮営業所で日本のデパートで初めての屋上庭園が登場。
以後の本館にも登場しリニューアルを重ねた屋上庭園、現在見られる“日本橋庭園”は2019年にリニューアルしたばかりのもの。
コンセプトは“つながりのもり”。中央にもうけられた水盤は空の風景を写す“水鏡”、その中には日本庭園的な石組が、そして周囲にはそれと調和した樹木が植栽。これは三越本館の高さと皇居の標高が同じであることに着想し、皇居の植生に習った植栽となっているそう。
そしてこの近代建築の“金字塔”をアイキャッチ/借景となっていて、池の周囲の芝生やウッドデッキ、テラスの下から眺めながら憩いの時間を過ごすことができます。また盆栽園「清香園」や三井家の守護社「三囲神社」の分社も。
最近では自然を感じさせる屋上庭園も増えてきているけれど、国の重要文化財の屋上に、百貨店を営業させながら池泉庭園をもうけた…という試みはとても挑戦的に感じる!設計はランドスケープ・プラス、施工はイビデングリーンテックさん。
東京のど真ん中に誕生した憩いの庭園、旅行の方も庭園を眺めながら昼休みを過ごしたい人も立ち寄ってみて。
(2022年1月、5月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)