東福寺 天得院庭園

Tofukuji Tentokuin Temple Garden, Kyoto

桃山時代に作庭された一面苔の枯山水庭園にキキョウが咲きほこる“桔梗の寺”。初夏と紅葉時期に特別公開。

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東福寺 天得院庭園について

【夏と秋に特別公開】
「萬松山 天得院」(てんとくいん)は京都を代表する寺院の一つ『東福寺』の塔頭寺院で、紅葉の名所として知られる“臥雲橋”を渡って“日下門”のすぐ門前にあります。一面の杉苔が美しい枯山水庭園は桃山時代の作庭とされ、夏にはその苔中に約300本のキキョウが咲き誇る“桔梗の寺”として知られます。
普段は非公開ですが、キキョウの花が咲く初夏と紅葉が見頃になる11月に特別公開。2020年秋に初めて拝観しました。

歴史について。創建は南北朝時代の正平年間(1346〜1370年頃)。東福寺の30世住持・無夢一清禅師により開かれ、今も数ある東福寺の塔頭寺院の中でも“東福寺五塔頭”に挙げられる程の寺格をほこりました。

時は流れて江戸時代。徳川家康の怒りを買い、江戸幕府が豊臣家を滅ぼす“大坂の陣”を開くきっかけとなった京都・方広寺の鐘銘事件。
有名な《国家安康 君臣豊楽》の銘文を提案したのは、豊臣秀吉豊臣秀頼親子からも信頼されていた東福寺の227世&天得院の住持・文英清韓長老でした。豊臣家の滅亡と前後して天得院も家康によって取り壊しに。

その後1789年(天明9年)に復興され、現在残る建築はその時に再建されたもの。近代には種田山頭火尾崎放哉・そして両者を育てた荻原井泉水といった俳人・歌人に好まれ、境内には井泉水による《石のしたしさよしぐれけり》の句碑が残ります。

天得院の庭園は桃山時代に作庭されたとされる枯山水庭園。今回訪れた晩春には紅葉や苔とツワブキの黄色い花が見頃で、遠く西山〜松尾山の山の風景も美しいと思った。

“華頭窓”が目印の書院をL字型に囲んだ庭園にはいくつかの石とサツキが配されている。その石の配置に関する考察は公式には書かれていないけど——苔=大海/水面の中を動物が泳いでいる・進んでいる姿を表現しているものなんじゃないかと感じる。“虎の児渡しの庭”と言われる『南禅寺方丈庭園』『圓光寺庭園』の“十牛之庭”など。ちなみに文英清韓は南禅寺の長老でもあり、圓光寺も(現在は)臨済宗南禅寺派の寺院。

今回の昼間の特別拝観はお抹茶付き。お菓子の絵柄がキキョウの花でかわいかった。お抹茶以外にも、京都駅近くの温泉宿『京湯元 ハトヤ瑞鳳閣』さんによる精進料理お食事つきプラン(要予約)も。次回は桔梗が咲き誇る夏に訪れたい!

(2020年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR奈良線・京阪本線 東福寺駅より徒歩8分
最寄りバス停は「東福寺道」バス停下車 徒歩10分

〒605-0981 京都府京都市東山区本町15-802 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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