天寧寺庭園

Tenneiji Temple Garden, Hikone, Shiga

井伊家ゆかりの“五百らかん”の寺院の中根金作作庭の“羅漢石庭”と、大老・井伊直弼が自ら監修した石州流庭園。

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天寧寺庭園について

「萬年山 天寧寺」(てんねいじ)は江戸時代末期の大老・井伊直弼の父で彦根藩11代目藩主・井伊直中により建立された曹洞宗の寺院。“五百らかん”の寺として知られ、境内には『足立美術館庭園』の作者として有名な中根金作の作庭による枯山水庭園“羅漢石庭”があります。萩の名所で“萩の寺”の名も。
2020年11月に初拝観。近くは何度か歩いてたんだけどなんか見る機会逃してた!

彦根駅の東側、彦根城や琵琶湖を一望できる高台に建つ天寧寺が建立されたのは1819年(文政2年)。“男子禁制”だった槻御殿(現在の『楽々園』)で、大奥に仕えていた腰元(女中)・若竹の妊娠が発覚。ルール違反の若竹は詰問されても相手を明かさなかったため、お手打ちに。要は殺傷された。(…現代ではなんとも信じがたいエピソード。)

しかしそのお腹の中に宿していたのは、直中の長男・井伊直清の子だったことが発覚。自分の初孫をも処分してしまった直中が若竹とその子の菩提を弔うために、寺院とともに京都の名仏師・駒井朝運に依頼し五百羅漢を制作しました。
五百羅漢には“自分の会いたい人に必ず会える(顔が見つかる)”と意味が込められ、井伊直中の孫への想いが垣間見えます。彦根市指定文化財。

庭園は2箇所あります。まずは本堂と羅漢堂の中庭“羅漢石庭”。お釈迦様の居る本堂と、十六羅漢の居る羅漢堂といったコンセプトから、中央の唯一白い石がお釈迦様、そしてそれを囲む16の石が十六羅漢を表現。また白砂はインドの仏「尼連運河」の砂が入っているそう。360度の角度から楽しめる石庭になっています。

そしてもう一つがお寺と同じく1819年に井伊直弼の監修の下で作庭された池泉鑑賞式の石州流庭園――なのですが。残念ながら建物(書院)の老朽化に伴い、現在は(数年前から)公開していないそう…。間近で見ることはかないませんが、境内上部の大観音・龍神社の方からその様子を伺うこと岩盤の斜面にも十六羅漢が配されている姿が確認できる。

境内には「井伊直弼公供養塔」も建ちます。「桜田門外の変」で亡くなった後、血染めになった遺品は彦根に持ち帰られ、そして縁深かったこの天寧寺に埋められこの供養塔が建てられました。
そんな井伊直弼が自らの好みで作らせた庭園。ドウダンツツジや紅葉もお見事だったし、いつか近くで鑑賞したい…!いつか大河とかでブームになることを期待。

(2020年10月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR琵琶湖線 彦根駅より徒歩15分
彦根駅より路線バス「天寧寺口」バス停下車 徒歩4分

〒522-0022 滋賀県彦根市里根町232 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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