越前大野藩家老・田村家の江戸時代後期の武家屋敷と、大野城の土塁を築山とした借景の美しい枯山水庭園。
武家屋敷旧田村家庭園について
「武家屋敷 旧田村家」(ぶけやしき きゅうたむらけ)は越前大野藩の城下町に残る江戸時代後期の武家屋敷。1827年に移築・改築した母屋が大野市指定文化財、また越前大野城外堀の土居を築山として利用した庭園が残ります。
最近は“天空の城”としても人気のある越前大野城。尾張・美濃から領地を拡大した織田信長の命で部下・金森長近が築いたもので、現在の天守閣は昭和時代に再建されたものですが、続日本100名城にも選定されています。今回自分も初めて訪れたのですが、結構他県ナンバーが止まっていてビックリ!
江戸時代以後の城主は福井藩主・結城秀康(徳川家康の子)の後継・松平直政や、大老・土井利勝の土井家から多くが城主を務めました。こうして作り上げられた越前大野の城下町は“福井の小京都”“北陸の小京都”とも称されます。
旧田村家は江戸時代後期に大野藩の家老を務めた田村俊強の暮らした武家屋敷。田村又左衛門家は江戸時代中期に現在のこの地、大野城の三の丸に屋敷を拝領。1827年の大火でそれまでの屋敷を焼失後、近隣の農家を移築・武家住宅に改築したとされるのが現在のお屋敷で、福井藩内では数少ない上級武家屋敷の遺構と言われます。2010年に田村家より大野市に寄贈され、その後2年間の解体・修復を経て近年より一般公開を開始。
主屋の奥にある庭園に関しては――築山が越前大野城の土塁を利用したものである、という以外の情報は無し。この土居は金森長近が外敵の侵入を防ぐために造らせたものとされ、城下町の中で残っているのはここだけとのこと。
『旧内山家』と同じく庭園の情報に乏しいので…以下は妄想ですが――庭園の雰囲気からするに、昭和以降の現代に造られたものではなく近代もしくはそれ以前の江戸期からあったもの――と言われても不思議ではない感じがする。
苔の中に配されている岩、特に築山にある石組には表現が込められているのでは――そして土塁の先に見える雪山の借景が素晴らしくて…!これを模したと思われる、屋敷内のガラスの意匠もまた良かった。
内山家の庭園とも雰囲気が異なるので(そもそも建物の年代も違うので)、大野の武家屋敷庭園がこんな感じだったという類似性は見出しづらいし、福井市内にも福井藩の武家庭園が残ってないのでその辺との比較もあんまりできないのだけど――内山家と同様に、庭園のことももっと知りたい武家屋敷!(…とか書いて現代の庭園だったりするかもなので…妄想は妄想ということだけ留意を(笑))
より苔が美しくなる季節にまた行きたい!
※余談。田村家の近くにあるローカル銭湯『亀山湯』も超気になった。時間が合わず入れなかったけど…こういう地元の銭湯、残っていってほしいなあ。
(2019年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR越美北線 越前大野駅、北大野駅より徒歩15分強(越前大野駅にレンタサイクルあり)
越前大野駅から観光回遊バス「石灯籠会館」バス停下車 徒歩3分
福井駅・勝山駅からの都市間路線バス「大野銀座」バス停下車 徒歩5分
〒912-0087 福井県大野市城町7-12 MAP