比較的お手頃なランチを楽しめる、南禅寺界隈別荘群のお屋敷の一つ。小川治兵衛(植治)の十一代目が現代に作庭した“双龍庭園”と東山の借景が絶景!
大力邸(大安苑)庭園“双龍庭園”について
「大力邸」(たいりきてい)は京都を代表する禅寺『南禅寺』の三門(国重要文化財)の門前、塔頭寺院『慈氏院』、『牧護庵』に挟まれた場所にあるお屋敷。京都の庭園の歴史に名を刻む庭師「小川治兵衛」(植治)の十一代目・小川雅史さん作庭による庭園“双龍庭園”を眺めながらのお食事を楽しめます。
※2024年夏、久々に訪れたのでその際の写真を追加して紹介。また前回訪れた数年前から色々変わっている点もあるので改めて紹介。なお、以前は庭園を回遊できた時期もあったのですが、現在は屋内からの鑑賞のみとなっています。
「南禅寺界隈別荘群」と呼ばれる邸宅群と参拝客向けの料亭/旅館が並ぶ南禅寺参道。現在は飲食店として活用されているこちら大力邸もルーツは近代に造営された個人邸。『近代京都オーバレイマップ』で見ると、大正時代末期~昭和時代初期には現在の建物と同じ形状の建物が存在し、また戦後の昭和26年の地図では進駐軍の住宅として接収されていたことがわかります。
大力邸の前身、京割烹「大安苑」(たいあんえん)が2010年に開業。2018~2019年頃に店内を一部リノベーションし名前も「大力邸」となりました。ちなみに大安苑の時代から所有者/運営元は大手ドラッグストア・チェーン、ダイコクドラッグ。大力邸に関する求人はダイコクドラッグから出ていたりする(ダイコクドラッグ愛用者なので最初は驚いた!)。
玄関の沓脱(くつぬぎ)石は近代京都のお屋敷らしい、京都の銘石・真黒石を組み合わせたデザイン。2階へ上がる階段部分の格天井や木材のなぐりから歴史的なお屋敷の雰囲気を感じつつ、1階の庭園に面したかつてのお座敷はキッチン/カウンター席へとリノベーション(リニューアル直後は寿司店としても営業されていました)。
2階の大広間もフローリングにテーブルで和洋折衷な木を基調とした和モダンな空間となっています(※外観や長方形の窓からして、元々洋風な空間?)。
そんな1階のカウンターに面し、2階大広間からは見下ろす池泉式日本庭園が『双龍庭園』。現代の2009年に新たに作庭されたこの庭園はかつて七代目小川治兵衛がこの南禅寺界隈で手掛けてきた庭園と同様に、琵琶湖疏水からの水を引く一方で、南禅寺の背後にそびえる瑞龍山からも水を引き入れ、2つの水の流れ~滝を“双龍滝”と名付けられたのが庭園名の由来。また池の左右から伸びるマツの木もまた龍のようなイメージで植栽されています。
桜や紅葉の名所として人気の南禅寺界隈――この庭園もそれと同じく、春には桜が、そして以降は青もみじ~秋には紅葉が楽しめる庭園で、そんな景色を楽しみつつゆっくりお食事をすることができます。観光客の多い南禅寺界隈では比較的穴場の飲食店――という点でもオススメ!
ちなみに現在のお食事のメインは「お肉」と「うどん」。以前は2階フロアでカフェ「草川茶屋」が営業されていましたが、現在はお食事のみ。2階から眼の前に眺める東山も絶景なので、機会があればぜひ2階席も予約し利用してみて。
(2019年3月、2024年6月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
京都市営地下鉄東西線 蹴上駅より徒歩10分
最寄バス停は「南禅寺(永観堂道 or 疏水記念館・動物園東門前)」。徒歩約5分
〒606-8437 京都府京都市左京区南禅寺草川町81 MAP