水前寺江津湖公園(旧砂取細川邸庭園)

Suizenji Ezuko Park, Kumamoto

熊本藩主・細川家ゆかりの池泉回遊式庭園をはじめ、複数の庭園遺構が残る湖畔公園。日本の都市公園100選。

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水前寺江津湖公園・旧砂取細川邸庭園について

水前寺江津湖公園(すいぜんじえずここうえん)は、熊本の市街地にある「江津湖」を中心とした大規模な都市公園で、日本の都市公園100選に選定。市街地寄りの上江津湖周辺には細川家をはじめとした庭園の遺構が複数残ります。

「マリエール神水苑」と同じ前段になるのですが、熊本市には「水前寺成趣園」という国内随一の素晴らしい大名庭園がある割にそれ以外の日本庭園の情報ってあまり無い。細川家は江戸の下屋敷にも素晴らしい庭園を残す程なのに――と思いながらGoogleマップで水前寺江津湖付近を見ていたら、細川家を始めとする史跡のピンがいくつか立っていることに気づき。今回はそのうち『旧東濱屋跡地』『旧砂取細川邸庭園』『細川藩家老有吉家別邸跡』を紹介。

■旧東濱屋庭園(3〜4枚目)
水前寺江津湖公園の出水地区の入口にあるのが「旧東濱屋跡」。『東濱屋』は明治創業の老舗うなぎ店で、現在は跡地から道路を挟んで向かいに移転。「旧東濱屋跡」に残っている池泉回遊式庭園は旧店舗の遺構で、今回訪れた際は葉が落ちきってしまっているけど、そのモミジの落ち葉の数から察するに紅葉のピーク時はきっときれいなんだろうな…!

■旧砂取細川邸庭園(1・5〜9枚目)
『砂取細川邸』は肥後熊本藩10代藩主・細川斉護の正室「顕光院」の隠居屋敷として明治時代に造られた屋敷で、明治以降に市内に4箇所あった細川藩主屋敷の一つ。顕光院は安芸広島藩・浅野家の生まれで細川家に嫁ぎ、出家前は「浅野益」と呼ばれたそう。
お屋敷は大正時代に細川家の手を離れ「江津花壇」という料亭となった後、昭和年代には所有者が転々とし建物は解体。その後、現在高台の上に建つ「熊本県立図書館」の建設のため県の所有地となり、当時造られた池泉回遊式の日本庭園のみその姿を残しています。

水前寺成趣園や神水苑ほど「どキレイ」な感じではないけど、水前寺江津湖公園公式ブログのエントリや論文『旧江津花壇(旧砂取邸)庭園の変遷に関する研究』の中にある往時の写真を見るとこちらも他の大名庭園に劣らない美しさだったことが伺い知れます。 県立美術館のこの写真とかを見る限り、植栽がすっきりする春先がきれいなのかも。

※丁度、2019年3月5日(火)に開催される『旧砂取細川邸庭園清掃活動』のボランティアが受付中!要事前申込。

■細川藩家老有吉家別邸跡(13枚目付近)
有吉家は肥後熊本藩で米田家(⇒採釣園)と並んで重臣として活躍した家老。わかりやすい遺構があるわけではないけど、江津湖と繋がっているこの辺りの池が有吉邸の庭園だったのかなあなんて思いを馳せたり。

その他にもかなり規模のデカい「芭蕉園」(10〜11枚目付近)や、名も知れぬ池泉式庭園の遺構(12枚目)などなど、気になるポイントがいっぱい。3つ併せて紹介したものの大きな湖沿いになるので、レンタサイクル等でゆるゆる巡るのが気持ち良い。
また「スイゼンジノリ発生地」が国の天然記念物指定を受けていますが、こちらは水質・水量の問題により絶滅危惧種となっています…。

(2018年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

熊本市電 「市立体育館前」電停より徒歩5分(旧砂取邸庭園まで)
JR豊肥本線 新水前寺駅より徒歩約15分(旧砂取邸庭園まで)

〒862-0941 熊本県熊本市中央区出水2丁目5-1 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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