小堀遠州の生まれ故郷「遠州の里」の古刹に残る、遠州作庭説もある池泉庭園。国重文の聖観音像や牡丹も見所。
総持寺庭園について
【庭園・内部の拝観は要予約】
長浜駅から東へまっすぐ約2.5kmの位置にある「小堀町」は江戸時代の大名・茶人・作庭家である小堀遠州の生まれ故郷で、「小堀遠州の里」という立て看板もあります――が、今回総持寺へ足を運んで説明を受けながら「遠州の里」の存在を初めて知りました(笑)長浜の中心地(黒壁スクエアのレトロな町並み)からは微妙に距離があるので観光マップにも載っていないはず…。
そんな小堀遠州出生地のすぐ隣にあるのが「総持寺」(そうじじ)。奈良時代に行基によって創建されたと伝わる古刹であり、近世は京極家・浅井家の保護を受けていたものの姉川の合戦で焼失。その後は豊臣秀吉によって再興。
その庭園「総持寺庭園」は江戸時代初期に造られた遠州流の池泉回遊式庭園で、滋賀県指定名勝になっています。
解説パネルや史料上は、作庭者不詳――というより「小堀遠州がこの庭園を手掛けたという史料はない」のですが、遠州自身は幼少期のみならず大人になってからもこの寺院に出入りしており住職と仲が良かったことから、年代的にも小堀遠州作庭なんじゃないか?とお寺では伝わっているそうです。
現在は庭を回遊はできず庫裏・書院から眺める鑑賞式庭園。今回はちょうどかいぼり中で水が抜かれていた上、9月に関西を襲った台風で折れた竹の処分もまだ出来ていない…というお話で、確かにパンフレットの写真と印象が違うので…また再訪したいと思います!
総持寺は庭園よりも滋賀県一の「ぼたん寺」として知られるそうで、例年4月下旬から5月上旬は境内のぼたんが咲き広がり見頃を迎えます。その他にも、庭園と同じく予約拝観の木造聖観音立像(平安時代作)、絹本著色愛染明王像は国指定重要文化財で、聖観音像は雑誌で取り上げられるなど有名な作品。また江戸時代初期建立の客殿にある狩野派・蘭林斉常政による獅子落としの障壁画・襖絵も素晴らしかった!西国薬師四十九霊場の31番札所。
ちなみに冒頭の「小堀遠州出生地」も長浜市指定史跡となっており、父親・小堀政次屋敷跡の碑や「ばんば堀」と呼ばれる池(お堀)が残っています。…堀の向こうに見える崩れそうな家屋が気になるけど…。
(2018年11月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)