春風萬里荘庭園

Shunpu Banri-so's Garden, Kasama, Ibaraki

あのジャン・レノも訪れた―かつて北大路魯山人が暮らした古民家と魯山人作の茶室から眺められる、“龍安寺”の石庭を模した枯山水庭園。

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春風萬里荘庭園について

「春風萬里荘」(しゅんぷうばんりそう)はかつて北大路魯山人が自らの居宅としてた古民家で、1965年(昭和40年)に笠間日動美術館の分館として北鎌倉からこの地へ移築されました。この茅葺の母屋の前には地形を活かした回遊式庭園、母屋裏に京都『龍安寺』の石庭を模したという枯山水庭園があります。
2022年にはあの!フランス人俳優:ジャン・レノさんも訪れていました。

2019年夏に9年ぶりに笠間の町へ行きました!笠間と言えば伏見稲荷豊川稲荷と並んで“日本三大稲荷”と称される笠間稲荷神社と陶芸の町。前回初めて訪れた時は“Sense of Wonder”という野外フェスが目的だったんだけど――会場だった笠間芸術の森公園も野外彫刻展示が沢山あったのが印象的で、ちょうど美術館に足繁く通い始めた頃だったので茨城県陶芸美術館や笠間日動美術館に行ったことも覚えている。

けど笠間日動美術館の分館としてこのような施設があることは知らず(まあ知ったとしても当時はまだ“枯山水”という言葉は知らなかったけど…)。昨年ぐらいに教えてもらって、いつ行こうかな〜と思ってたのですが、2019年夏の18きっぷシーズンの間に行こう!と決めて行ってきました。

春風萬里荘の母屋はもともとは神奈川県厚木あたりの大庄屋だった伊東家の居宅として江戸時代中期に建造されたもの。昭和の初期に魯山人が譲り受けて北鎌倉に移築、自らの住居としました。
また現在その母屋から繋がっている茶室「夢境庵」は千宗旦によって作られた茶室「又隠」を手本として魯山人が自ら設計したもので、北鎌倉に在った頃は独立した建造物だったそうです。その茶室の内部や母屋の意匠、そして洋間など建物内も魯山人がこだわったんだろうなあ、と思うポイントが沢山で見ててワクワクする(魯山人の遺作の陶芸も展示!)。

そもそもこの地に魯山人の古民家が移築されるにあたった経緯について。魯山人が亡き後の1964年、洋画家・朝井閑右衛門と小説家・田村泰次郎が笠間日動美術館および銀座の日動画廊の創業者・長谷川仁と笠間に訪れた際に、笠間にアトリエを作りたいという作家の要望により“芸術の村”構想ができました。
そして母屋を始め江戸期の長屋門などがこの地に移築され(今回訪れた際には長屋門前の園路は整備工事中でした)、現在もこの春風萬里荘周辺には40戸ほどのアーティストのアトリエがあるそう。春風萬里荘もパンフレットに記載されている住所には「芸術の村」というワードが入っています。

庭園はこの建物が移築された時に作庭されたものなので、元々魯山人宅にあったものというわけではないそうですが――お手入れが行き届いている枯山水庭園。『龍安寺』を模した、と先にも書いたけど、京都の『妙蓮寺庭園』と似た雰囲気を感じます。背後の樹木との組合せも美しい。
母屋の前の自然の地形と山からの小さな河川を活かした自然豊かな庭園は創作活動の間のリフレッシュの場にはピッタリって感じ。低地部にある池泉は初夏〜夏にかけてはハナショウブや睡蓮の花が咲きほこるそう(訪れた時期にはもう花は見られなかったけど…)。池の畔の桜も春には美しいんだろうなあ。

なお魯山人設計の茶室はお茶会などで借りることもできるそう。これってけっこう貴重じゃない?詳しくは公式サイトで。
ちなみに笠間日動美術館自体にもモネ、ゴッホ、アンディ・ウォーホルをはじめとして近現代の著名な画家の作品が多数。今回は再訪できなかったけど(芸術の森公園も)また機を見つけて笠間には行きたい!

(2019年9月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

JR水戸線 笠間駅より徒歩20分(駅にレンタサイクルあり)
JR友部駅・笠間駅より観光周遊バス「春風萬里荘」バス停下車すぐ

〒309-1626 茨城県笠間市下市毛1371-1 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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