人呼んで“北山杉の秘園”。本阿弥光悦がかつて芸術村を開いた京都の洛北・鷹峯にたたずむ苔とモミジの緑が美しい穴場庭園。ユニークな酒樽茶室も見所!
しょうざんリゾート京都庭園について
「しょうざんリゾート京都」(しょうざんりぞーときょうと)は京都の洛北・鷹峯にたたずむレストラン・料亭/結婚式場/渓涼床/会員制リゾートホテル『東急ハーヴェストクラブ京都鷹峯&VIALA』、ラグジュアリーホテル『ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts』等からなる複合リゾート施設。その日本庭園『北庭』は昭和年代に作庭された苔の美しい庭園です。
世界遺産『金閣寺』の北方、江戸時代初期に活躍した美術家“寛永の三筆”本阿弥光悦ゆかりの寺院『光悦寺』、『源光庵』が位置する「鷹峯」エリア。この地はかつて本阿弥光悦が徳川家康から9万坪の土地を与えられ、鷹ヶ峰芸術村(光悦村)を開き創作活動に打ち込んだ場所でした。
昭和時代の半ばにこの一帯を取得したのが西陣織の呉服商「しょうざん」松山政雄氏。新たな“芸術村”を構想し、1951年(昭和26年)から造営が開始。現在は前述通りのレストラン、ホテル、ウェディングなど大人向けのリゾート施設ですが、かつてはボウリング場もあったとか。
主庭園となる『北庭』は入園料のみで散策することができます。この庭園がまた素晴らしい…!庭園の前半は、苔むした中に立派な北山杉(台杉)と大きな紀州の青石と、銘木・銘石が贅沢にふんだんに並び配されたエリア。
それを過ぎると、変わららない一面の苔の中に紙屋川から引かれた清流が流れ、頭上はモミジで覆われたエリアへ。春には新緑が、そして秋には一面の紅葉が美しい(はず)…!その先には盆栽や山野草を販売、ガーデニング体験もできる『茶花園』も。
庭園の中心にある数寄屋風の和風建築が『峰玉亭』。その前には前述の流れが行き着いた池泉が、奥には“鷹ヶ峰三山”を借景にのぞむことができます。この池泉は菖蒲の花咲く6月が一つの見頃なのだとか。
そしてその周囲には裏千家十一世家元・千宗室(玄々斎)設計による茶室『聴松庵』や酒樽をリフォームした『酒樽茶室』の姿が。かわいい酒樽茶室は『山口ふるさと伝承総合センター』、『松井屋酒造場』など各地にありますが、しょうざん庭園のは最も人の目に触れているものかもしれません。この美しい庭園の作庭に携わったのは地元・京都鷹峯の庭師・中原正治(造園中原)。
この北庭以外にも、石畳の園路を南に下った先にある和の料亭『千寿閣』の前に露地風の庭園が広がります。この千寿閣は世界遺産『天龍寺』の雲龍図が有名な日本画家・鈴木松年の旧宅(明治時代築)が移築されたもの。また更にその先に豊臣秀吉が京都に張り巡らせた『御土居』(国指定史跡)の遺構も。
京都の中では比較的歴史の新しい庭園ですが、喧騒がつきものの京都観光の中では穴場の心落ち着く庭園――。
(2018年9月、2024年4月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)