祥龍山 金剛寺庭園「桃源の庭」

Shoryuzan Kongoji Temple Garden, Ashigara, Kanagawa

戦国時代の小田原城主・大森氏頼も帰依した相模国の古刹に、昭和時代に桃源武陵禅師が作庭した枯山水庭園“桃源の庭”。令和に作庭のモダンなお庭“三途の川”も。

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祥龍山 金剛寺庭園「桃源の庭」について

「祥龍山 金剛寺」(しょうりゅうざん こんごうじ)は神奈川県南足柄市にある臨済宗円覚寺派の寺院。室町時代からの歴史を持つ禅寺で、昭和時代に第17世・桃源武陵禅師により作庭された枯山水庭園「桃源の庭」があります。(※希望者は申し出れば拝観可能。)

小田原市の北方、ローカル線「大雄山線」の終着駅・大雄山駅から徒歩圏内に位置し、大雄山の麓に位置する「金剛寺」。創建は室町時代の1394年(応永元年)(※ちなみにこれは山内にある『大雄山 最乗寺』と同じ)。

戦国時代には北条氏北条早雲)以前に小田原城主だった大森氏頼(上杉家の家臣)に信仰され、1445年(文安2年)には氏頼の援助によって伽藍が拡大。山号も現在の「祥龍山」へと改められ、大森家とのご縁から寺紋には大森氏の家紋である二つ巴が定められています。
氏頼の後を継いだ大森藤頼の代に小田原城は北条早雲の手に渡り、大森氏も小田原を追われますが、氏頼の持仏だった釈迦如来像(シャム佛)が金剛寺に伝わります。

現在の本堂・庫裡などの建築は、1851年の安政江戸地震、1853年の嘉永小田原地震で倒壊した後の再建で、うち本堂は鎌倉の国宝寺院『円覚寺』の塔頭『続灯庵』の本堂を模っているそう。さらに、1941年(昭和16年)から45年間住職をつとめたのが第17世・桃源武陵禅師。枯山水庭園をはじめ、4月に見頃を迎える牡丹園、鐘楼など現在見られる建物や境内を整えられました。

庫裡の奥、書院から眺められる枯山水庭園が桃源和尚が作庭した「桃源の庭」。枯池の手前に坐禅石、その目の先に龍門瀑。枯池の左右にそれぞれ亀石、鶴石を配し、そして一面に砂を引いた(砂利と白砂のコントラストが特徴的な)禅寺らしい枯山水。

この枯山水庭園の向こう側の丘部分に近年新たに作庭されたのが「三途の川」という名のお庭。版築壁のような見た目(実際は石積み)の永代供養墓を取り囲むお庭で、先の龍門爆と連続するイメージで加えられた滝石組と枯流れ、そして三途の川をイメージした園路から構成。その園路や茅葺の門がどこか“茶庭”の様な雰囲気も演出します。

境内には、京都『大原三千院』などでも人気の杉村孝さん作の「わらべ地蔵像」も点在。また金剛寺は「夜の坐禅プログラム」も注目されているそう。小田原を旅行・散策する際は大雄山の古刹まで足を伸ばしてみて。

(2024年7月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)

アクセス・住所 / Locations

伊豆箱根鉄道大雄山線 富士フイルム前駅より徒歩10分
小田急小田原線 開成駅より路線バス「久保入口」バス停下車 徒歩1分

〒250-0126 神奈川県南足柄市狩野433 MAP

投稿者プロフィール

イトウマサトシ
イトウマサトシ
Instagram約9万フォロワーの日本庭園メディア『おにわさん』中の人。これまで足を運んで紹介した庭園の数は2,000以上。執筆・お仕事のご依頼も受け付けています!ご連絡はSNSのDMよりお願いいたします。
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