西尾城の櫓跡を活かして昭和初期に名古屋の庭師・足立代三郎により作庭された回遊式庭園と近代和風建築。
尚古荘庭園について
「尚古荘」(しょうこそう)は米穀商・岩崎明三郎によって「西尾城」の東の丸の跡に昭和初期に造営された別荘。現在は西尾城跡を整備した「西尾市歴史公園」の一部として回遊式庭園が無料で公開されています。
2020年12月、約6年半ぶりに“三河の小京都”西尾を訪れました。
鎌倉時代に足利義氏によって築城された「西条城」が前身とされる西尾城。江戸時代には酒井正親・その子の酒井重忠・本多康俊・太田資宗・井伊直好といった武将、大名が城主/藩主をつとめ、街も西尾城の城下町として発展。
…でも前回訪れた頃はまだ古い町並みや建物に今程熱心ではなくて、アートな島で知られる“佐久島”を訪れたついでに少し町を歩いたって感じで。この尚古荘も「あ、庭園ある」と少し立ち寄っただけで、駅から見ると更に奥にある『旧近衛邸』とかは完全にスルーしてた。今回は!ちゃんとその2箇所(+α)を見ようと思って久々の西尾へ。
西尾城への思いから名付けられたという“尚古荘”(古を尚ぶ荘)。瀬口哲夫さん(名古屋市立大学芸術工学部教授)の文献『奥行きある歴史的古都づくりに向かって/旧近衛邸や尚古荘の再生活用』によると、1931年~1937年(昭和6~12年)と6年もの歳月をかけて造営されました。作庭は名古屋の庭師・足立代三郎によるもの。
…6年前の自分の“庭園の見方”を思い起こすと、“建物から見るもの”という感覚が薄かったように思う。園路を歩いて終わり、みたいな。建物を見た記憶がほとんどなかった。
今回改めて訪れてみて。30畳の大広間のあるお座敷は沓脱石が立派なこと・その視線の先にお茶室“不言庵”へ目が行くこと、座敷の一番奥が枯池にせり出すような形になっていてかっこいいなあと思ったり、昭和初期の和風建築のかっこよさを実感する。ここの紅葉がまた立派できれいで!
歌人・佐々木弘綱も訪れたという茶室“不言庵”は金物商“鍋屋”八代目・辻利八の別邸に建てられたもので、後にこの尚古荘に移築。また園内の高台は西尾城の丑寅櫓の跡とされていて、高台の東屋も辻利八邸から移築されたもの。
茶室から眺めた時のこの高台の石組が――この日は快晴で影が多くてわかりづらいけど、結構迫力ありそうで。櫓跡と書いたけど、城郭の頃の石塁というよりはもっと荒々しい。“京風庭園”と表現されているけど、個人的には名古屋の近代の豪邸に作庭された回遊式庭園『東山荘庭園』っぽいなと思いました。
先述した名古屋の庭師・足立さんの情報が…全く無いみたいなので、ほんとぼんやりした印象だけなんですが。
尚古荘の敷地に隣接して、商家のような外観の『抹茶ラボ 西尾伝想茶屋店』もあります。西尾の特産品・抹茶を用いて、お抹茶のみならず抹茶スイーツも味わえるので休憩にも。
(2014年6月、2020年12月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
名鉄西尾線 西尾駅より徒歩10分(駅にレンタサイクルあり)
西尾駅よりコミュニティバス「西尾本町」バス停下車 徒歩1分
〒445-0864 愛知県西尾市錦城町176-1 MAP