鈴木大拙館『水鏡の庭』に隣接する、加賀藩重臣『加賀八家』筆頭・本多家の屋敷と池泉回遊式庭園。
松風閣庭園について
「松風閣庭園」(しょうふうかくていえん)は加賀藩の重臣・本多家の屋敷の江戸時代初期に作られた池泉回遊式庭園。金沢市指定名勝となっており、また池泉にせり出す座敷と「本多家長屋門」が国登録有形文化財となっています。
さかのぼると徳川家康の家臣として三河国の時代から長く仕えた老中・本多正信の分家となる加賀本多家。『加賀八家』の一つに数えられ、重臣として江戸時代を通じ加賀百万石を支えました。
現在「本多の森」と呼ばれるこの一帯は江戸時代初期に加賀藩3代目藩主・前田利常より与えられた場所で、下屋敷の造営と併せてそれ以前よりあった古沼と自然林を生かしてこの庭園が築庭されました。作庭は江戸初期の茶人・金森宗和の息子で、加賀藩に使えた金森方氏が手掛けたと推定されています。
また現在池泉の畔に建つ「松風閣」は本多家の上屋敷に江戸時代後期に「広坂御広式御対面所」として造営されたもので、加賀八家のお屋敷としては唯一現存するものとのこと。現在は国登録有形文化財となっており、2019年に金沢市の指定文化財にもなりました。
⇒松風閣、金沢市文化財に 唯一残る加賀八家上屋敷 – 石川県のニュース | 北國新聞社
明治時代に同じく登録有形文化財の「本多家長屋門」と同時に移築され、その際に「松風閣」と改称。併せて庭園も『松風閣庭園』と呼ばれるようになりました。ちなみに本多家の上屋敷ってどのあたりにあったのかというと現在石川県立美術館が建つ一帯にあったようです。美術館付近に残る『本多家上屋敷西面門跡及び塀跡』が金沢市の史跡記念物。
松風閣の建つ敷地には現在ご当地の放送局・北陸放送のビルも建ちます。またニューヨーク近代美術館(MoMA)などを手掛けた世界的建築家・谷口吉生さんの建築『鈴木大拙館』も隣接しており、庭園への入場口は鈴木大拙館の「水鏡の庭」の脇の小道から。鈴木大拙館も素晴らしいのであわせてどうぞ!鈴木大拙館のランドスケープを担当されているのはMLS Inc.三谷康彦さん。
むしろ21世紀美術館とあわせて鈴木大拙館へ訪れた人が『兼六園』以外にもこんな庭園があるんだ…って立ち寄っているパターンが多いようなので、割と入場者数は多い庭園かもしれない。兼六園や玉泉園、武家屋敷野村家と違って無料なので気軽に入りやすい庭園でもある…ってことで自分も今回2年ぶりに再訪。これまで全て春なので、雪景色や秋の姿も見てみたい。
(2014年5月、2017年5月、2019年3月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR北陸新幹線 金沢駅より約3km(市内各地にレンタサイクルあり)
金沢駅より路線バス「本多町」下車徒歩4分(鈴木大拙館)
〒920-0964 石川県金沢市本多町3丁目2-1 MAP