最澄や空海、桂昌院ゆかりの寺院の遠くに東山をのぞむ借景式山水庭園は、庭石を動物に見立てた“鳥獣の石庭”。
正法寺庭園について
「法寿山 正法寺」(しょうぼうじ)は京都の洛西・大原野にある真言宗東寺派の別格本山寺院。平安京遷都を挟んだ延暦年間(782~806年)に最澄によって“大原寺”として創建された寺院。
“石の寺”とも呼ばれ、境内には遠く東山連峰をのぞむ借景式山水庭園“宝生苑”があります。2020年夏に初めて訪れました。
奈良・奈良唐招提寺を創建した鑑真和上の高弟・智威大徳が“春日禅房”と称して隠棲したのがそのはじまり。最澄により寺院に改められた後の弘仁年間(810年~824年)には弘法大師空海が入寺。その際に制作された聖観世音菩薩が寺宝として残り、その他ご本尊の三面千手観世音菩薩立像(鎌倉時代の作)は国指定重要文化財になっています。
その後応仁の乱により焼失したものの、江戸時代に再建され正法寺と改められました。中でも江戸幕府5代将軍・徳川綱吉の母・桂昌院が大原野の出身で深く帰依されたそう。そのため徳川家の祈願所として徳川家からの文書等も残ります。
書院“室生殿”から眺められる池泉式・枯山水と両方が楽しめる庭園は昭和年代に作庭されたもので、配されている庭石の形が様々な動物の形のように見立てられ、まるで『鳥獣戯画』のよう――ということで“鳥獣の石庭”と称されます。庭園中央に紅枝垂れ桜があるので、春は桜越しの石庭が美しいんだろうなあ。
この庭園だけでなく本堂前にも巨石の配された庭園があったり、極楽橋手前にも巨石があったり…と全国各地から集められた岩は総200トン!
またすぐ向かいには同じく平安京以前からの歴史があり、桓武天皇皇后や藤原家ゆかりの『大原野神社』もあります。洛西ニュータウンを登った先に山の風景が開けた思ったら、一気に歴史的な雰囲気漂う集落になる感じもすごく良い。また季節変えて訪れたい!
(2020年8月訪問。以下の情報は訪問時の情報です。最新の情報は各種公式サイトをご確認ください。)
アクセス・住所 / Locations
JR向日市駅・阪急 東向日駅より路線バス「南春日町」バス停下車 徒歩8分
阪急京都線 西向日駅より約5.5km(駅にレンタサイクルあり)
〒610-1153 京都府京都市西京区大原野南春日町1102 MAP